彦根の城下町で、琵琶湖から南下する芹川(せりかわ)北岸には、古い町並みが残る地区があります。江戸時代の町家、近代の洋館、そして遊郭跡が未だに現存し、文化庁の選定する重要歴史敵建造物保存地区にも選ばれているエリアです。

 

 

そもそも彦根の町は、1604年にはじまる彦根城の築城に伴い、17世紀中期にかけて整えられました。そばに中山道の宿場町・鳥居本宿、芹川、高宮がならぶ彦根は、その城下の町から、城へのびる彦根道もありで、東の多賀や周辺の農村部の物資の集散地となります。

さらに、琵琶湖の側には、中山道として並行して走る、李朝朝鮮の高官使節が江戸へ向かう「朝鮮人街道」もある交通の要衝でもあったのです。

 

【花しょうぶ通り】

先ずは、「花しょうぶ通り」を、北から南に向かって、歩いてみましょう。かすかに蛇行している道は、かつて川だった敷地を使っているためです。

http://www.packet.ne.jp/hanasyoubu-st/index.htm

http://www.hikone-kiina.jp/member/hanashobu/

 

  

花しょうぶ通りと銀座通り商店街を結ぶ、<久左の辻>にある、旧明治銀行彦根支店(写真右上)が最初に登場します。大正7年の上棟で、昭和初期の金融恐慌で破たんした後、紆余曲折の末、現在は滋賀中央信用金庫として活用されているのだそうです。大正のモダニズムを伝える、見事な建築遺産です。

http://www.aluji.co.jp/digitalarchives/DITAIL/pg89.html

 

  

 

 

逓信舎(画像上)は、江戸後期の表具屋「高崎商店」が、昭和初期に「逓信舎=郵便局」として使われる為に、洋風に改築されたものです。

 

 

この辺りは明治時代には、製糸工場が作られ、繭を扱う店が多く立ち並び繫栄、さらに近代以降も商業地として栄えた為、建物にバラエティがあり、両側を眺め歩くだけで歴史が感じられる趣き深い散歩道です。

 

昭和11年建築の「宇水李理髪館」も現役です。その左隣りの和風の建物は、街の駅「治部少丸」、石田三成に関連した展示スペースで、誰でも無料で見学できます。
 

 

江戸時代の建物の特長は、木造2階建て、切妻造りが多く、奥が深い京町屋風です。

火災延焼を防ぐ、袖壁を備えたものも見られました。

 

 

 

 

【袋町遊郭の跡地】

さて、ここは重伝建地区から少し脇道にそれた裏通り、芹川沿い、河原町は以前は川原町、袋町と呼ばれていて「袋町遊郭」という赤線地帯がありました。その名残が今でも若干残されており、風情あふれる一画となっています。

 

 

今は小さなスナックなどが集まる呑み屋ビルが多く集まっていますが、その中に、時おり、歴史ある建物が見られます。車もが入れない道幅の狭さが、淫靡さを演出しています。

 

 

遊郭ならではの弁柄格子の町並みは、金沢・東茶屋街にも匹敵する情緒。これらは現在でも割烹などに活用されています。しかも、人気が無い分、ゆっくり観られるのも魅力ですね。

 

最後に、おまけ。銀座通りにある四階建てのビル。

昭和36年の4階建ての建築認可によりできた商業ビル。今はこれもレトロな一軒ですね。

参考

http://www.city.hikone.shiga.jp/cmsfiles/contents/0000003/3305/kawara_seri_jyudenken.pdf

 

さて、琵琶湖の東北・彦根から南西へ周遊するたび、次は五個荘へ行ってみましょう。

https://ameblo.jp/juniors11/entry-12293748713.html