と言っても全女のリングスタッフと顔見知りの人が数名いましたので、片付けを手伝うという名目で無償で観戦させていただいていました。
高校生のプロレス好きの淳一少年はお金をあまり使わなく非常に助かっていました。
日本武道館や横浜アリーナなど大会場は専門のスタッフがいたためチケットを購入。
屋外や地方の体育館では、会場撤収作業を手伝う代わりに無償で観戦。
このように使い分けていました。
全日本女子プロレスの中では前川久美子選手を応援していました。
鋭いキックの使い手。
髪型が似ていましたので勝手に
『お兄ちゃん』と呼んでいました。
また、前川選手も気さくに話をしていただきました。
全女の会場で仲良くなった同年代の
『照尚』(てるまさ)写真中央。
彼とは良く出待ちをしたり、全女事務所に行って選手バスを見送ったり、いわゆる追っかけファンをしていました。
照尚は、玉田りえ選手のファン。
淳一少年は、前川選手のファン。
前川選手と玉田選手は平成3年組と言って同期でしたので普段から一緒に行動しているのを見かけました。
自分達は両選手より年下でしたので他のファンの方よりもよく声をかけていただきました。(高校生くらいの追っかけは珍しかったんだと思います。)
堀田祐美子選手、井上京子選手、伊藤薫選手などは女性の追っかけファンが多数。
前川選手は、女性追っかけファンは1人。
容姿は気の強そうなお姉さん。
顔はそこそこ美人でした。
その女性は常に前川選手の側にいます。
自分も前川選手と仲良く話していたので、
その女性からしたら目障りな存在だったかもしれません。
ある日の会場で2人っきりの状況で話かけられます。
気の強そうなお姉さん「あんた本当に久美のファンなの？」
淳一少年「はい!!」
(この人、自分のこと探っているのか？)
気の強そうなお姉さん「アイドルレスラーには興味ないの？」
淳一少年「前川選手のファイトスタイルが好きです!!」
気の強そうなお姉さん「ふ～ん。」
と言ってこの日の会話は終わり。
(淳一少年、ホッ。)
何度か会場に行けば挨拶と一言二言話す仲に。
唐突に
「今度から私のこと『ガリバー』って呼んでいいから。
『ガリバー』って呼んでいいの、久美とあんただけだから。」
と言ってきましたが、面と向かって
『ガリバー』なんて言えるわけがなく…。
その後、淳一少年は2000年にレフェリーデビューが決まって業界人に。
所属団体は男子、今みたいに団体間の選手同士の付き合いなんか無い時代。
前川選手との接触はありませんでした。
当然、前川選手には、レフェリーデビューしたことすら伝えていません。
『2006年3月16日後楽園ホールで前川久美子引退。』
週刊プロレスの誌面で知ります。
『ファンのころ応援していた前川選手の引退試合に行きたい!!』
しかし、頭の片隅にあるのは、
自分がデビューした
IWA・JAPANプロレス浅野社長の教え。
「あんたはもうファンじゃないんだから、
切符を買ってプロレスを観に行くことも出来ないんだからね!!
ファンの心を捨てなさい!!」
と散々言われていたことが、頭にありましたので諦めていました。
(今もこの教えは守っています。)
入口で『関係者です』って言っても実績・知名度も無い単なるレフェリーです。
門前払いされることはバカな自分にもわかります。
しかし、プロレスの神様はなんの前触れもなく思いがけないプレゼントを突然くれます。
続きは次回に。