❏❏❏ 回顧録:2007年9月13日 東京・自宅
ステロイド療法69日目、3回目の手術から36日目
※後腹膜リンパ節郭清手術により、腹部から取り除いたリンパ節約50個は、がんの壊死組織だった(2007年8月13日)。
この週は、積極的に出歩いた。
会社には行っていない。
まだ間質性肺炎の治療中だし、そもそも出社しても仕事をこなすだけの体力がないし、体調が良くないからだ。
月曜日にディスカウントストアに行った。
平日の昼間、量販店ってこんなに人がいないのかと驚いた。
がんになる前は、週末しか行けなかった。
週末に行くと、バーゲンセールのように混雑している量販店だが、平日は閑散としている。
今この時間、みんな会社で働いている。
なのに自分は、何かを買うでもなく、ただ体力を戻そうとディスカウントストアの中を歩いているのだ。
会社の中でどんどん周回遅れになっていくような怖さがあった。
火曜日、水曜日と、お昼の時間のころ、会社近くに行って、会社の人とワンオンワンでランチを一緒した。
それぞれチームのリーダーで部長職の人だ。
彼らは、私がどんな状況なのか真剣に聞いてくれた。
がん治療に一区切りがつき、一方、間質性肺炎の治療が継続している。
ただそれだけのことだが、会ってみないとわからないことは多い。
彼らは、私と会い一見して「これじゃあ、まだ、仕事なんてできないよね」そう言っていた。
坊主頭で、ゆっくりゆっくり歩く。
常にはあはあと息切れしながら、話す。
ちょこんと押したら倒れてしまいそうなくらい、よたよたしている。
以前、がんサバイバーの人から言われた。
体力と体調は、卵の薄皮がはがれるくらいにしか変わっていかない。
焦っちゃいけないよ、と。
自分の体調が一歩前進一歩後退の毎日だから、その言葉の意味が痛いほどよく分かった。