※2度目の手術(後腹膜リンパ節郭清手術)により、腹部に残っていたがんは、壊死組織(=死んだがん)とわかり、私のがん治療は、8月13日で終了した。ただ、抗がん剤による合併症・間質性肺炎のステロイド療法は続いていた。まだ、この段階では、のちに起こる大変なことを知らない。

 

 

❏❏❏ 回顧録:2007年8月14日 東京・慈恵医大病院

 

ステロイド療法39日目

 

「がん」との闘いは、これで一旦、終了したことになっていた。

 

手術により摘出した組織に活動性のある「がん細胞」が存在しなかったからだ。

 

1日過ぎ、翌日の私は、ベッドの上で苦しんでいた。

 

手術の影響で弱った身体が回復していないからだ。

 

この日はまだ、3つのチューブが身体から出ていた。

 

CVCカテーテルの管が、首から出ている。

 

そして、体液を外に出すための腹部ドレインパックの管が、右側と左側の脇場からだ出ている。

 

 

この日は、一日中、ベッドの上で横たわっていた。

 

くつろいでいたのとは多少、意味が違う。

 

体力と筋力が無いなか、リハビリの院内歩きをする元気が無かったのだ。

 

9歳の長女と6歳の長男が、妻と一緒に来た。

 

彼らに「がん」の説明をしたことは無い。

 

まだ幼いから「がん」の意味が解らない。

 

変な心配をさせたくないという理由ではない。

 

 

これまでも、父親のありのままを見せてきたし、隠すことは無かった。

 

ただ、言ってもわかんないだろうし、何を言って良いのかもわからなかった。

 

この日の元気度「15点」と日記とノートに書いてある。

 

がん治療が終了と言われても、患者は体調が悪いままだ。

 

切開したお腹は腫れあがり、中央に手のひらくらいの茶色いしみがある。

 

手術でそうなった。

 

まともに歩くこともできないし、未だに食事を口から食べていない。

 

あと何日したら、退院できるのか?それを知りたかった。