私は「貯えもないのに49歳で定年」となり大変だったわけですが、、

 

「定年」の恐ろしさは、7年前の42歳の時に既に感じ取っていました。

 

 

どういうことかというと、、

 

先ずは、36歳の時のこと。

 

私がゴールドマン・サックスに入社したのは、1999年です。

 

この年のことは忘れられませんが、、

 

前の年が、株式公開(IPO)の年で、GSには大きな転機でした。

 

私は前年にサマーインターンでゴールドマンで働き、内定をもらい再就職を決めたのですが、、

 

当時、誰かが言っていた。

 

「GSに入社したら、IPOで纏まったお金が手に入るから、ハッピーリタイヤメントできるかもよ」

 

つまり従業員には未公開株の権利が与えられ、

 

その後、株式公開IPOで、かなりのお金が入るから、そこで退職してハッピーリタイヤメントできるかもよ、、

 

というお話しなのですが、、

 

 

私にはよく解らなかったので、そういうこともあるかぐらいに聞いておきました。

 

 

そしたら、1年以内にIPOしちゃって、私なんかまだ入社前だから、株式の権利なんかなくて、ハッピーリタイヤなんて縁遠いことが、入社前に解りました。

 

 

※やはり、証券会社の言うことは、信用ならないと思いましたわ。そこに入っちゃった私ですが、、

 

 

そして、入社して1年もたたず、オペレーションの業務部のマネージャーが、ハッピーリタイヤだといって、退職していきました。

 

懇意にしていてくれたシニアのかただったので、少し寂しかった。

 

羨ましいというより、寂しかったです。

 

 

そして、それから半年後、かれはネット証券に再就職しました。

 

「えっ、なんで?なんで?」と思い、彼に会って話を聞くと、

 

 

仕事をしないで、何も役目が無くて、ぼーとして家に居ると「自分がどんどんバカになっていくのがよく解る」というのです。

 

それまで、超高回転で頭を使って仕事をしていたのに、

 

 

定年リタイヤで、急に頭を使わなくなると、

 

日々、バカになっている自分がよく解るというのです。

 

 

それが嫌でたまらなくて、給料は安くていいから何か仕事させて欲しいとネット証券にお願いして再就職したというのです。

 

 

その時は「バカになるのが解る」というのがよく解らなかったのですが、

 

「ああ、ハッピーリタイヤなんて、存在しないのだな」と感じました。

 

 

特に、第一線で働いてきた人たちにとって「何もしなくていい」は、アンハッピーですよね。

 

誰からも期待されず、社会で役目もなく、居場所もない、ぜんぜんハッピーじゃないのは解ります。

 

 

それから6年後、私は、身をもって知ります。

 

がん入院です。

 

 

がん患者、入院患者の私には、社会で役目がありませんでした。

 

仕事もなく、社会とのつながりを失いました。

 

正に定年した人と同じです。

 

 

きつかったあ~

 

社会で役目が無く、社会との接点が無いって本当にキツカッタですよ。

 

 

さらに、、

 

「自分がバカになっていく」感じがよく解りました。

 

あの時、彼が言っていたことと同じです。

 

社会で役割が無く、入院病棟でただ治療スケジュールをこなしていくだけの存在の私には、

 

「考える時間」というものが極端に減りました。

 

なんてたって、

 

人の名前が出てこないんですよ、、

 

英語なんか、入院中に急速に忘れていきました。

 

何か考えるとき、重い車を押しながら考えているみたいで、サクサク感が極端に無くなりました。

 

まさに「バカになってきている感じ」を実感するのです。

 

 

あのとき「定年の恐ろしさ」を身をもって感じたから、

 

私は生涯現役じゃないとだめだ、のんびり定年は無理だ、、と思いました。