❏❏❏ 回顧録:2007年8月7日 東京・慈恵医大病院
ステロイド療法32日目
がん2度目の手術(後腹膜リンパ節郭清手術)の前日・夜。
この夜、讃岐先生から、明日のオペについて聞いた。
インフォーム・ド・コンセントのような格式ばった情報ではなく、砕けた情報だ。
明日は、教授、木村先生、そして若手の都築先生の3人が執刀に当たる。
麻酔科の先生も付きっきりでいる。
私の身体に、常に麻酔を入れ続けなければならないからだ。
手術台は狭い。
私の肩幅より少しあるくらいだ。
手術台と一言で言っても、色んな体形の患者がいるから、患者に合わせた手術台を選ぶ。
やせ型の患者に大き目の手術台だと余った部分が広く、お医者さん達は、腕を伸ばしてオペをしなくてはいけなくなる。
そんな非効率なことの無いように、やせ型の人の手術台がある。
一方、太っちょの人には、狭い台だと落っこちてしまったら大変だ。
だから、その人にあう手術台がある。
オペには看護師たちも立ち会う。
医師の補佐的な仕事をするのだが、それでも大変な仕事だ。
だから、オペ室に入れる看護師は、それができる看護師に限られる。
慈恵医大病院には、大小の手術室が20室以上あり、常に何らかの手術が行われている印象だ。
だから、医師もそうだが、看護師の人繰り・配置も大変な前準備になる。
この日の夕食は、手術前日用に用意されたもので、はっきり言って記憶がない。
「これが夕食か?」と思うようなものだったはずだ。
ただ、「すでに手術準備が始まっているんだ」という緊張を感じた記憶はある。
入院病棟は夜9時になると、全部屋が消灯だ。
看護師が見回って、すべての部屋の電気を消す。
私の部屋も真っ暗になった。
「明日は、いよいよ俺の番か、、」そう思って寝た。