❏❏❏ 回顧録:2007年8月6日 東京・慈恵医大病院

 

ステロイド療法31日目

 

午前中の検査を終えて、病室で昼食を妻と一緒に食べた。

 

彼女が、お気に入りの中華弁当を外の中華料理屋で2つ買ってきてくれた。

 

明日は、手術前日。

 

いよいよ食事制限が始まる。

 

そうなると食べたいものも食べられないし、何より、病院の食事に飽きていた。

 

この病院の食事は、決してマズくはない。

 

むしろ、美味しい方だと思う。

 

ただ、同じような内容の食事で半年も入院していると飽きてくる。

 

それに、あの雰囲気が嫌だ。

 

プラスチックの器、プラスチックのご飯茶碗、プラスチックの箸に、プラスチックの湯のみ、

 

それが、プラスチックトレイに載せて運ばれてくる。

 

まさに給食であって、食を楽しむものとはかけ離れている。

 

だから、最後の食事を病院食にするのは嫌だった。

 

多分、栄養士かなんかが、塩分控えめ、脂っこいものは控えめ、、、、バランス、バランス、、、

 

そんな感じで、パンチの無いつまんない給食なんだから。

 

 

日本の病院は、手術の前日とか、前々日に入院させる。

 

私が知る限り、アメリカとシンガポールは、オペ当日の入院が多い。

 

ベッドを効率的に回すためだろう。

 

 

私が入院した当時は、入院すると検査、検査、検査、だった。

 

その後、1~2日経って、オペとなる。

 

検査なら外来でもできるのかもしれないが、患者が近くにいると医療者は何かと仕事がしやすいのだろう。

 

 

午後、呼吸器内科の皆川先生が部屋にやってきた。

 

そして、午前中に撮影した胸部レントゲンを見て、

 

「よかった。間質性肺炎の影は、一部が薄くなってます。改善傾向が続いています。明日の手術では、予定通りプレドニン20㎎で、いきましょう」

 

そう言った。

 

私はすかさず、「例え20㎎でも、免疫力が落ちた状態でオペすることは、大丈夫なんですか?」そう聞くと、、またかという表情をされ、

 

「大丈夫です。それくらいなら、十分、手術を受けられます」

 

そう返された。

 

同じような質問をこれまでもしていて、返事は解っていた。

 

だけど、明日のオペに不安な私は、もう一度、皆川先生から安心する言葉を言って欲しかった。

 

刻々と、手術することに向かっている。

 

覚悟は決めていたはずなのに、心のどこかで逃げたがっていた。