❏❏❏ 回顧録:2007年7月22日 東京・皇居

 

ステロイド療法17日目

 

私の2回目の手術は、8月8日と決まった。

 

そして、8月6日に入院する。

 

この年、5回目の入院になる。

 

信じられない。。

 

これまで健康オタクのように、健康には自信があった。

 

それなのに、5回目の入院だ。

 

私の人生はそれまで、大きな病気もしたことが無く順調だった。

 

それはそうだ。

 

毎月のようにマラソン大会を走るランナーだ。

 

まず、私はタバコを吸わない。

 

食べ物に好き嫌いは無い。野菜を好んで食べる。

 

しかも、1週間に5日以上走っている。運動不足ではないのだ。

 

そして、毎年、人間ドック、健康診断、更に「がん検診」を受けて、問題が無かった。

 

この年だって、がんが発症する4ヵ月前の「がん検診」でまったく問題なかった。

 

※後々わかるが、がん検診で計っているがんの種類は限られる。肺がん、乳がん、大腸がん、胃がん、その程度だ。がんだけで56種類以上ある。だから、私に発症した「精巣がん」のための検査なんて行われない。つまり、がん検診で大丈夫などと言うことは無いのだ。

 

5回目の入院、2回目の手術、、

 

私はこれが怖かった。

 

できれば受けたくないと本当に思ってセカンドオピニオンの旅にも出た。

 

しかし、2度目の手術を受けることにした。

 

それが間もなくやってくる。

 

気持ちは落ち込んでいた。

 

だから、この日(日曜日)に皇居に行った。

 

ランナー達が大勢走っているはずだ。

 

その光景を見て、モチベーションを上げたかったのだ。

 

この日、気温は35度。

 

真夏の皇居に、上下ジャージ姿で、野球帽をかぶり、青色の医療マスクをした私がいた。

 

髪の毛がないから、隠すために野球帽をかぶっているが、横からみたら、髪の毛が無いことはすぐにわかる。

 

35度の東京の真夏、暑くてたまらないけど、感染症に気をつけなくてはならない「がん患者」だから、そんな恰好で行った。

 

みんな、Tシャツ、半ズボンで皇居を観光をしている。

 

そんななか、私の姿は明らかに不思議な人だった。

 

しかも、抗がん剤で眉毛が無い。

 

皇居警備の警察官に職務質問されたら、嫌だな、とおもっていた。

 

体力が無いから、フラフラしながら、皇居のベンチまで行った。

 

練習しているランナーはみんなカラフルなランシャツ、Tシャツ、ランパンで走っている。

 

男の人も、女性ランナーもかっこいい。

 

ベンチに座り、目の前を軽快に走って行くランナー達を見ていたら、涙が出てきた。

 

がん患者の私とは、あまりにも似つかわしくない。

 

全部が対照的なのだ。

 

「今の俺は、走るなんて出来ない「がん患者」だ。しかも、間質性肺炎も発症していて、普通にしていても呼吸が上手くできない、、」

 

目の前を走って行くみんなが羨ましかった。

 

がんの2度目の手術まで17日、

 

待ち受けている手術が怖くて仕方がなかった。