❏❏❏ 回顧録:2007年7月15日 東京・慈恵医大病院

 

ステロイドを点滴で投与する治療、10日目。

 

8歳の娘の風邪が治ったというので、前日は外出・外泊で、自宅に帰った。

 

また、自宅への外泊である。

 

何とも不思議だ。

 

この日は日曜日。

 

入院病とはひっそりしている。

 

医者も、看護師も、人数が少ないし、オペなどの治療が行われていないから、ひっそりしている。

 

私は妻が運転する車で、慈恵医大に来て、入院病棟でステロイドの点滴を受けた。

 

この日は息苦しく、のど圧も高かった。

 

台風が来ていて気圧の変化に伴うものだと思う。

 

決して病気が悪化しているのではなく、台風の影響だ、そう信じていた。

 

呼吸器の病気は、不安が多い。

 

ちょっとした気圧の変化や、湿度の変化、寒暖差などで、呼吸が苦しくなる。

 

そのたびに、「まさか、病気が悪化しているのでは、、」とびくびくし、精神的に疲れる。

 

呼吸器内科の医師にお願いして診てもらっても、聴診器を当てるだけで、

 

「うん、相変わらず、音は良くないです」となんとも嫌なコメントをされるだけだ。

 

悪化しているのか、変わりないのかが、解らないのがこの病気の特徴だ。

 

この日は気分転換を兼ねて、家族でホテルの中華料理を食べに行った。

 

相変わらず髪の毛が無いので、野球帽をかぶってレストランに入る。

 

なんとも、礼儀知らずの患者だが、帽子を脱ぐと、みんなから「がんだ!」とじろじろ見られるのが嫌だった。

 

だから、かぶったままにしていた。

 

夕方、本屋まで散歩。

 

本当なら、昔のようにマラソンをしたいが、そんなこと遠い夢だ。

 

がん患者で、呼吸器の病気・間質性肺炎の患者の私が、スポーツなんて出来るはずもない。

 

本屋で、ランナー雑誌を見ていたら、涙が出てきた。