❏❏❏ 回顧録:2007年7月12日 東京・慈恵医大病院

 

ステロイドパルス療法、7日目。

 

ステロイドなんて、身体に入れるものではない。

 

炎症が引かず、困ったときにだけ入れるのだろうが、私はかれこれ7日間、連続投与している。

 

この日も朝、病室で起きると「のど圧」が下がったように感じた。

 

のど圧というのは、喉ぼとけのあたりに、まるでゴルフボールでも詰まったかのように息苦しい圧力を感じることだ。

 

私が先生に解りやすく伝えるために、そう表現していた。

 

患者と医師の間のコミュニケーションは、難しい。

 

そもそも医療に関する知識量が違うこともあるが、症状を解りやすく伝えるのは至難の業だ。

 

例えば、お腹が痛い。

 

胃が痛いのか?腸が痛いのか?それとも、もっと他の臓器が痛いのか?患者には解らない。

 

患者に解らないのだから医師はもっとわからない。

 

しかも痛みの表現だって、チクチク痛い、ド~ンと痛い。キュウ―っと痛い、表現の仕方が無数にある。

 

だから私は、医師に説明するときに「まるで○○のような」という比喩をたくさん使っていた。

 

のど圧も、「まるでゴルフボールが詰まったかのよう」とか、ある時は、「まるで、大豆くらいの豆が張り付いているかのよう」

 

そんな感じで話していた。

 

肺の状態は、前日の45点から、60点に改善、そうノートに書いた。

 

漠然とした表現だが、息苦しさと喉が感じる圧力を総合して点をつけて、ノートに毎日書くことで、心を鎮めようとしていた。