❏❏❏ 回顧録:2007年7月2日 東京・慈恵医大病院
週末が終わり、月曜日。
がん患者はホッとする。
病院が開くからだ。
この日の体調は83点。
手のむくみ:8,疲れ:3,咳:6、胸ゼコ:8(これは、胸がゼコゼコする状態を数値化して記録したものだ。結構ひどい)足首のかたさ:8,腰痛:6、頭痛:4。
よくもまあ、こんなに症状があるものだ。
10時半に、慈恵医大の木村先生の外来に行った。
例によって、あの暗い感じの待合室で待っていた。
泌尿器科の待合室は、暗い。
高齢の男性ばかりだからだ。
内科とか外科のように、女性とか、若い人がいない。
泌尿器科は、年老いた男がかかる病気が多い。
だから、そうなる。
「大久保さん、○○番のお部屋のお入りください」
木村先生のアナウンスで、部屋に入った。
お互い、気まずいような、不思議な緊張感が走る。
それはそうだ。
私は、彼の治療方針に対して、セカンドオピニオンの旅に2週間も出ていた患者だ。
患者と家族にとって、主治医に対して「セカンドオピニオン」を取りたいというのは、とても勇気がいることだ。
医者によっては、「そんなに私の治療方針が、信じられないのですか!」などと声を荒げ、不仲になるケースもあるという。
患者は医療の素人だ。
だから、本当にその治療で良いのか?解らない。
しかし実際には、ガイドラインに沿った治療方針だったりすることは多い。
一方、医者と患者では、治療に関する知識量が圧倒的に違う。
ゼロと100、くらい違う。
だから、「治療は、おまかせします」というのでなければ、常に「そういうものなのかな?」と不安に感じるのが患者の常だ。
木村先生は、その患者心理を司会してくれていたので助かった。
「セカンドオピニオンに行かれていかがでしたか?」
そう聞かれ、正直に全てを話した。
木村先生の言う通り、後腹膜リンパ節郭清術を勧めたのが3施設(がんセンター中央病院、がんセンター東病院、癌研有明病院)、一方、経過観察でも良いと思うが1施設(東京警察病院)。
かれは、それを私のカルテに記録していき、私の反応を待っていた。
「先生、手術を受ける決心がつきました。宜しくお願いします」
そういうと、ようやく安心されたようにニコリとされた。
問題は、日々、症状が強くなっている「間質性肺炎」だ。