❏❏❏ 回顧録:2007年6月28日 東京・慈恵医大病院
この日は、午後3時に東京医科歯科大学病院でのセカンドオピニオンが予定されていた。
だが、相変わらず、咳が出る。
心配なので、慈恵医大病院に行き、私は真っ先に入院病棟に向かった。
そして17階の泌尿器科のナースステーションにあがる。
入院しているわけでもないのに、
セカンドオピニオンで他の病院を巡っているというのに、入院病棟に行くなんて図々しいと思う。
でも、この病院の先生たちとは仲良くなっていた。
だから咳のことで相談にのってもらいたかったのだ。
中央棟の17階に行くと、みんなが私の顔を見て「おやっ」という反応だった。
私は若いドクターに、咳のことを相談すると、
「それなら、呼吸器内科で診てもらうほうが良いよ。院内紹介状を書きますよ。そうすると早く診てもらえるから」
相変わらず、優しい。
その後、妻と一緒に呼吸器内科の外来に行き、待合室で待っていた。
既に胸部レントゲン撮影と血液検査を済ませて、呼ばれるのを待っているだけなのに
すでに1時間以上たっていた。
早いと言っても1時間以上だ。
やがて、「大久保さん、○○番のお部屋にどうぞ」
アナウンスが流れて、部屋に入ると、若い男性のお医者さんが座っていた。
彼は私のカルテを見て、「いま、泌尿器科で精巣腫瘍の治療を受けているんですよね、、」そうつぶやいた。
レントゲン画像が透過光に移され、白黒に光っている。
彼は、ずっと、カルテを眺めている。
口数の少ないお医者さんだ。
後ろ向いてと言われ、背中の聴診器をあてられた。
他の医者なら、さっさと、上下左右と、聴診器を当てまわすが、彼は一カ所に当てて集中して聴いている。
それから、2カ所目。
そこでもじっくり呼吸の音を聞いている。
その後、私の右手の人差し指に、プラスチックの洗濯ばさみみたいなサックを挟んで、機械を見ていた。
そして、こういった。
「間質性肺炎を発症しています」
えっ?
肺炎?かんしつせいはいえん?なんて聞いたこともない病名だ。
肺炎って、風邪をこじらしてなるものだと思っていた。。
彼は、皆川先生、私の運命をにぎる3人目のお医者さんだ。
「間質性肺炎と言っても、広範囲です。これは治るものだと思います」
確かにそう言った。
じゃあ、治らない間質性肺炎があるってことか?
そう思った瞬間、背中が冷たくなった。
「抗がん剤・ブレオマイシンによる「薬剤性間質性肺炎」という事だと思います」
「その薬剤性って何ですか?」
そう聞くと、「抗がん剤によって引き起こされた間質性肺炎です。なるべく早く入院しましょう」
にゅういん??
そんなに大変な病気なのか?
まだ何も情報が無いなか、不安だけが大きくなった。
※ただ、後でこの病気について知れば知るほど、恐ろしくなっていく。