❏❏❏ 回顧録:2007年5月19日 東京・慈恵医大病院

 

第2クール19日目(Day-19)

 

あと3日で、抗がん剤治療第2クールが終わる。

 

私はこの日は、朝の採血だけで、あと検査も治療もない。

 

病院の朝食は飽きたから、外に出てローソンでパンと牛乳を買って、公園のベンチで食べた。

 

ハゲ頭でジャージ姿のがん患者が、ベンチでパンを食べている。

 

この日は土曜日なので、朝、通りに人は少ない。

 

サラリーマンがいないのだ。

 

 

家に帰ってみると、子供たちは児童館に行っていていなかった。

 

なんとなくだるくて仕方がなかった。

 

また、「うつ症状」が出ていた。

 

がん患者は、頻繁に、うつになる。

 

軽い鬱(うつ)から、重いうつまで人それぞれだが、頻繁になる。

 

それはそうだ、命と向き合っているのだから。

 

しかも、抗がん剤の副作用に「うつ症状」とはっきりある。

 

副作用で「うつ」になるのだ。

 

 

病院には「精神腫瘍科(せいしんしゅようか)」という診療科がある。

 

最初は、「えっ?精神にがん(=腫瘍)ができるの??そんな訳ないじゃん」そう思った。

 

腫瘍とは、がんのことだ。

 

精神腫瘍科とは、精神科のことだ。

 

ただし、患者を「がん患者とがん患者家族」に絞った、精神科だ。

 

つまり、がんに特化した精神科医がいる。

 

 

有名がグラフがある。

 

これは著名な海外の精神科医が使用した図で、がんの告知を受けたり、再発を知らされた時、強烈なストレスから精神が落ちてしまうということだ。

 

現在は、色んな人がその報告を基に、下図のような図で説明している。

 

そして、始まったら、最初の2週間が大事という報告である。

 

2週間のうちに、精神状態の回復ができないと、適応障害になったり、悪い場合は、うつ病になってしまうということを警告している図だ。

 

うつ症状が出るのは仕方がないが、それを短い期間で回復させないと、「うつ病」になってしまう。

 

そうなると、がん治療も難しくなるのだ。

 

私は、それを知っていたから、うつ症状が出たら、まずは頑張らず、横になった。

 

そして「早く回復させなくちゃ」そう心に言い聞かせた。

 

 

がんになる前は、うつなどとは縁遠い生活をしていたのに、がん告知を受けてからは、頻繁にその兆候が出た。

 

「薬の副作用だから仕方がない」

 

そう思うことで、少しでも自分を傷つけないようにしていた。

 

身体が傷んでいるのに、こころまで痛み出したら、可哀そうだから。