❏❏❏ 回顧録:2007年5月13日 東京・自宅

 

第2クール13日目(Day-13)

 

この日は日曜日だったが、入院病棟へ行き、若いお医者さんからノイアップ注射を打ってもらった。

 

白血球数を増やす注射だ。

 

医師は、当直で休日も病院にいる。

 

そのあと、私は御成門の慈恵医大から自宅まで歩いて帰った。

 

体力をつけるためだ。

 

5月のこの時期は、外を歩いていると気持ちい。

 

ただ、今でこそ珍しくなくなったが、当時の私は、5月に医療者用の「青色のマスク」をして外を歩いている。

 

マスクなんてつけている人はいない。

 

しかも青色のマスクだ。

 

慈恵医大病院の入院病棟、廊下には青色のマスクがたくさん入った「マスク箱」が置いてあった。

 

マスクを持っていない見舞客がいたら、それを付けて病室に入るためだ。

 

あと、患者が外出する際にも、つけることになっていた。

 

その青マスクをして散歩していると、行きかう人が私のマスクを見る。

 

野球帽で隠しているが、髪の毛が無いのが解る。

 

恐らく変な人にみえただろう。

 

がん患者は、周囲からみられるのが辛い。

 

髪の毛が無いし、眉毛もない。

 

マスクは青色、以下にも顔色が悪い。

 

でも、そんなこといちいち気にしていたら良くない。

 

「今は仕方がない」のだから。

 

私は、その後も、近所のレンタルビデオ屋「ツタヤ」まで散歩に行ったり、恵比寿のアトレに買い物に行ったりした。

 

動ける時に出来るだけ動いて体力を付けたかったからだ。

 

今は、11ヵ月前にサロマ湖100㎞マラソンを走ったときの体力も筋力も、なにもない。

 

でも、嘆いていても仕方がないから、精力的に散歩と買い物に出かけていた。