❏❏❏ 回顧録:2007年5月8日 東京・慈恵医大病院
第2クール8日目(Day-8)
この日は抗がん剤「ブレオマイシン」の投与日だった。
午前10時半、看護師が抗がん剤の点滴を点滴棒にぶら下げた。
私の点滴棒には、常に3~4個の点滴がぶら下がっている。
まるで夏の風物詩、風鈴売りのようだ。
この日の朝は体調が良かった。
1~5日までに蓄積した抗がん剤が、ようやく身体から抜けたみたいだった。
久しぶりに「だるくない朝」で始まっていた。
しかし、それもつかの間、また、抗がん剤治療が再開されている。
「数時間後には、また、あの気持ち悪いのが戻ってくるんだよな、、。」
一人で愚痴っていた。
この日も妻が見舞いに来てくれた。
今日こそは食欲が戻っているだろうと「焼肉弁当」を買ってきてくれたのだ。
これは嬉しかった。
久しぶりに体調が良く、食欲が戻っていたから美味しくてたまらなかった。
食欲が戻ったときに病院食では嫌だ。
妻は、私のがんをきっかけに、自分の体調も気にしていた。
だから、午後に慈恵医大の乳腺外科を受診すると言って病室から出ていった。
万が一にも、妻が乳がんという事はないだろうと信じていたが、もし、そうだとしたら、私は絶望的な気持ちになる。
小さな子供が2人いて、両親ともどもがんで入院なんて、考えただけでぞっとした。