❏❏❏ 回顧録:2007年5月2日 東京・慈恵医大病院

 

第2クール2日目(Day-2)

 

昨日の点数は50~60点。

 

第1クールの初日が、10点だったのに比べると高い。

 

なぜだろう?

 

抗がん剤を精神的には受け入れているからだろうか?

 

それとも身体が慣れてきて、いわゆる耐性を持ったのか?

 

この日は、朝、ラウンジで「やさしいビジネス英語」を勉強していた。

 

入院してから英会話能力が強烈に落ちた。

 

普段仕事で話していたが、入院病棟では英語なんて使わない。

 

この前、社内のアライン・ボルドーニと電話会議した時、全然、英語が出てこなくて悔しかった。

 

使っていないと話せなくなる。

 

骨折の入院から数えて、2ヵ月半だ。

 

しかも、抗がん剤の副作用に「ケモブレイン」があるという。

 

※ケモブレイン:抗がん剤により、記憶力、思考力、集中力が一時的に低下する症状。そう説明書きにある。 

 

抗がん剤のことを「ケモ」という。(「キーモ」という人もいる。)

 

恐らく化学「ケミストリー」からきている。

 

抗がん剤治療のことを、化学療法(ケモセラピー)というのだ。

 

「ブレイン」は脳。

 

化学薬品で影響を受けた脳みそ、ということなのかな?

 

確かに、見舞客が来ても、直ぐにその人の名前が口から出てこない。

 

名前を忘れるくらいだから、英語なんて一番最初に忘れるのだろう。

 

頭が、どんどん、バカになっていくようで怖い。

 

だから、朝、英語の勉強を始めた。

 

ささやかな抵抗だ。

 

10:30AM 第1抗がん剤 シスプラチンの投与。

 

また、始まった。

 

この病棟では、ずっと以前から、抗がん剤治療が行われていたのだろう。

 

私には非日常だが、ここでは日常のできごとなのだ。

 

1時間後にエトポシド(2番目の抗がん剤)が投与された。

 

ぽと、ぽと、ぽと

 

医療ベッドに寝転がりながら、点滴が落ちているのを見るのは、何とも退屈だ。

 

でも、点滴が止まっていたり、逆流したりしたら、いち早く見つけたい。

 

そのために、ぽとぽとを見上げている。

 

こんなもん1日中見てるから、頭がバカになるんだ!

 

きょうもまた、つまらない1日が始まった。