❏❏❏ 回顧録:2007年4月27日 東京・慈恵医大病院

 

Day-18(18日目)

 

この日は、朝9時に松葉杖を整形外科に返しに行った。

 

そういえば、私は、3月に骨折してこの病院に入院し、入院中にがんが見つかった。

 

既に1か月以上が過ぎ、松葉づえ無しで生活できている。

ありがたいことだ。

 

ただ、がん発症により、骨折のリハビリが出来なかった。

 

だから、足の長さが左右で違うし、歩くとき、左右が非対称の歩き方だ。

 

これが、後々、マラソンに復帰しようとするとき、大きな問題になった。

 

正直、今でも硬さが非対称で、脚の怪我故障が起こりやすい原因になっている。

 

2007年4月27日、

 

第1クールも終わりの頃、検査に次ぐ検査だった。

 

治療効果を評価する為だ。

 

この日、呼吸機能検査が行われた。

 

私は、「肺拡散能検査」を大の苦手としていた。

 

どうしても、上手く出来ない。

 

検査機器は、まるで冷蔵庫を横にしたような金属の箱で、掃除機のようにノズルが象の鼻のように伸びている。

 

患者は、ノズルの先端をくわえて、思いっきり吸って吐いてを繰り返す。

 

ヘトヘトになる検査だ。

 

先ず、肺活量検査。前回との比較で3%減少と出た。

 

多少、気になったが、誤差の範囲とした。

 

その後、肺拡散能検査が行われた。

 

拡散能力(=DLCO値)とは、平たく言えば、「肺が酸素を取込む能力」のことで、最も重要なデータだ。

 

しかし、肺の拡散能力は抗がん剤治療によりダメージを受けるリスクがある。

 

医師達は、そのリスクを勘案しながら治療方針を練っていく。

 

私の場合、理想的以上に抗がん剤治療は、上手くいっている。

 

だが副作用はどうか?

 

「ピッ」、「ピッ」

 

画面に出た前回との比較に眼を疑った。

 

「えっ!」

 

DOCo値、前回より20%減少とある。

 

20%、、、

検査技師に訊いた。

 

「これって、ひどくないですか?」

 

「うーん、3月の時より結構下がっていますね」

 

「もう一度、測り直して下さい」

 

そして、再度測定するが、同じ結果が出る。

 

正直、青ざめた。

 

「これって、相当まずいんじゃないですか?」

 

検査技師は、私と目を合わせない。

 

そしてこう言った、、

 

「大久保さん、これ以上は担当の先生とお話し下さい」

 

検査終了後、失望に近い驚きで落胆していた。

 

肺が20%も小さくなっている、、、

 

目の前が暗くなってきた。