❏❏❏ 回顧録:2007年4月24日 東京・慈恵医大病院

 

Day-15(15日目)

 

抗がん剤(ブレオマイシン)を投与する日だ。

 

1クール21日間の中で、最後の抗がん剤治療の日だ。

 

3週間21日を一つのクールと呼んでいるのに、最後の抗がん剤を入れるのは15日目と、6日も早い。

 

不思議な感じがしたが、この後、検査の嵐となる。

 

つまり、最初の約2週間のうちに抗がん剤を定期的に体に入れ、最後の1週間は、どうなったか調べる期間という事だ。

 

医師は時々「効果を評価する」という表現を取る。

 

私はそれが嫌だった。

 

まるで実験みたいじゃないか、それが嫌だった。

 

午前10:00 看護師がブレオマイシンを持ってきた。

 

そして、私の点滴棒につるす。

 

コックをひねる。

 

ポトポトポト、薬が身体に入っていく。

 

やはりこの日も副作用が出た。

 

体調の悪い時間帯は午後3:00~午後8:00、約5時間。

 

私は医療ベッドの上で身体を「くの字」に折り曲げ、吐き気と闘った。

 

気持ち悪い。

いまにも吐きそうだ。

 

そんなときは体を折り曲げると、気持ち悪さが和らいだ。

 

熱は37.8℃まで上昇。

 

不思議なものだが、抗がん剤治療がはじまる日まで、がんにより連日38℃~39℃も熱があった。

 

今はそれがない。

 

熱が上がるのは抗がん剤の副作用だ。

 

夜、入院病棟は静かだ。

 

この日も看護師にお願いして氷枕を用意してもらった。

 

頭の後ろで、氷がゴロゴロタプタプ鳴る音が心地よかった。

 

終わった。

最後の抗がん剤投与が終わった。

 

あとは、白血球数と上げていくのみ。

気力と体力を上げていくのみだ。

 

真っ暗な病室で、この15日間のことを振り返った。

 

なんて、密度の濃い15日間だったろう。

 

命がけの毎日は疲れる。

 

そんなことを考えながら眠っていった。