❏❏❏ 回顧録:20077年4月23日 東京・慈恵医大病院

 

Day-14(14日目)

 

この日のことを、もう少し詳しく書く。

 

血液検査の結果だが、嬉しいニュースがあった。

 

腫瘍マーカー(LDH)が、前回 485 から、314 にまで下がっていたのだ。

 

LDHとは、血清乳酸脱水素酵素のことだ。

 

英語名: Lactate Dehydrogenase  これを略して LDH と全世界で読んでいる。

 

腫瘍マーカは、血液中の様々なものを指標に使うが、酵素とかホルモンなどがそれにあたる。

 

身体に異常が起こると、通常一定のバンドの中にあるはずのものが、大きく増える、そのメッセージから「何か起こっている」と判断するのだ。

 

LDHは、酵素の一つであるが、結果的に身体の中で炎症反応が増大すると、LDHが増える。

 

例えば、風邪などの感染症でも増える。

 

通常、120~220 U/L (ユニット・パー・リットル)の範囲にある。

 

つまり血液1リットル当たり、120~220 ユニットの範囲で血清乳酸脱水素酵素が存在する。

 

ただ、私の場合、4月9日に「 836 U/L 」もあった。

 

それが抗がん剤治療により、この日、「314」まで下がっていたのだ。

 

嬉しかった。本当に嬉しかった。

 

この14日間、一方的に下がっていたが、こうなると、逆に、次回は上がってしまい、失望するのではとドキドキしていたからだ。

 

私は妻の車で自宅に帰り、大丸ピーコックで「稲荷寿司」と「メンチカツ1枚」を買い、お昼に食べた。

 

そして、自宅の近くのオフィスビルに行き、1階のロビーで時間をつぶした。

 

オフィスロビーをサラリーマンが行きかう。

 

スーツ姿の人たちが、お客さん訪問の時間まで上司と打ち合わせている。

 

ビジネスマンたちが自然と醸し出すエネルギーを感じていた。

 

いよいよ明日は、Day-15(15日目)。

 

抗がん剤(ブレオマイシン)を投与する日だ。

 

1クール21日間の中で、最後の抗がん剤治療の日。

 

この調子で乗り切りたい、それだけを考えていた。