❏❏❏ 回顧録:2007年4月21日 東京・慈恵医大病院

 

Day-12(12日目)

 

外出許可を取って、私は病院を出た。

 

そして山手線に乗り、不思議な疎外感を感じていた。

 

どこに行くでもなく、あてもなく山手線に乗ったのは、この時が初めてだった。

 

いったい自分は何をしているんだろう、一駅行って、反対側の内回りに乗り換えた。

 

それから自宅に帰ることにした。

 

「やっぱり家が良い、、」

 

着くと、駅から家まであるく。

 

ぜーはーぜーはー

 

異常に息が切れる。

 

なぜ、こんなに息が切れるんだろう?

 

この時は解らなかった。

 

家に帰ると9歳と6歳の子供たちがいて、歓迎してくれた。

 

無邪気に喜ぶ子供たちを見ていると、このあと病院に戻らなくてはならないのが辛くなった。

 

子供たちに話すと、なぜ病院に戻るの?と怒ったような顔で言われた。

 

私自身だって、解らない。

 

なぜ、病院なんかに戻らなくちゃいけないのか、、

 

患者という言葉は嫌だ。

 

入院患者なんて言う言葉はもっと嫌だ。

 

家族4人でご飯を食べてから、タクシーで一人 病院に戻った。

 

電気の消えた自分の病室に戻ると、脱力した。