❏❏❏ 回顧録:2007年3月15日 東京・慈恵医大病院

 

この日、泌尿器科に入院したが、早速個室に移れるとのことで、妻と一緒にラウンジに移動した。

 

そのラウンジの隅には本棚があり、様々な本が立てかけてあった。

 

マンガ本、料理の本、病気関連の本、絵本。

 

こうしてラウンジにいると

「本当に明日、自分が手術を受けるのかな?」

 

そんな、のんびりした気分になってしまう。

 

しかし、その時だ。

 

ガァー!ガタン。

 

急に後ろの巨大な銀色の自動扉が開き、エレベーターから「患者のベッド」が出てきた。

 

点滴がぶら下がっているアルミスティール製のベッドで、中には患者がぐったり横たわっていた。

 

その移動式ベッドを看護師3人が押して出てきた。

 

心配そうな家族も付き添っている。

 

正に、たった今、手術を終えた患者が自分の病室に戻ってきた瞬間だった。

 

のんびりした雰囲気が、急に緊迫した冷たい雰囲気に変わった。

看護師たちがドタバタしている。

 

「俺も、明日ああなるのか、、」

 

一気に暗くなった。

 

患者は、手術に臨む患者達を見ると、自分の事に置き換え緊張する。

 

なんか、嫌なものを見た気がして心臓のドキドキが止まらなかった。