❏❏❏ 回顧録:2007年3月13日 自宅
「まず、明々後日の手術だ」
そう思い、慈恵医大病院を後にした。
ただ、熱は相変わらず38℃を超えていた。
ところで、この日とても大切なことを、しなくてはならなかった。
会社への癌(がん)の報告だ。
私の上司は、性格が温和なアメリカ人の人で、当時既に8年の付き合いの「仲間」のような人だ。
信頼関係もある。
とは言え、がんのことは、しっかりと報告しなくてはならない。
非常に重要な報告になる。
「自分の部下が癌を患った」となれば、彼もビックリするだろう。
そして、彼もまた、彼の上司に報告しなくてはならない。
骨折の入院中、彼は建築の写真集を持ってお見舞いに来てくれた。
ついこの前まで携帯電話で話して、骨折の回復具合を連絡していた。
しかし、この「癌の報告」は、先ずメールにした。
そのほうが良いと思ったからだ。
内容は、こんな感じの英語だった。
「フレッドへ、足の骨折の回復は順調です。週末に予定通り退院しました。しかし、新しい報告があります。私は、がんです。今週、金曜日に手術が予定されていて、1週間ほど入院します。会社への復帰は、更に1~2ヵ月後になりそうです。不便をかけてしまい、ごめんなさい。チームの皆にも伝えてください。」
なるべく彼を心配させないような、柔らかい英文にして送信した。