❏❏❏ ここでは、私の「ダイバーシティー講演」、及び「両立支援」講演の内容の一部をご紹介いたします。
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前回のブログ(同じテーマ:両立支援)では、人事の施策に「制度」と「運用」があり、ゴールドマン・サックスでは、両方とも従業員のためを考えて、すごかった、というお話をしました。
その根底にある考え方は、「パフォーマンス主義」です。
つまり、会社は、従業員が仕事のパフォーマンスを上げるための環境を用意するというものです。
「仕事のしやすさ」「結果を出しやすい環境」を惜しみなく用意すると言って良いかと思います。
一方、私がご相談を受ける企業の多くは「労務管理主義」です。
つまり、会社は、従業員の勤務を管理する、その管理のしやすい方策を考えるというもの。
かなり昔の考え方ですよね。
かつて、日本の経済が右肩上がりで、作るものは全て売れるような時代であれば、それでも良かったのでしょう。
つまり、会社側は「生産効率」を追い求め、その効率を上げるためには「画一的な価値観」のもと、「似たような従業員が効率よく働く」その「労務を管理する」という考えだと思います。
まるで性悪説で、会社側がきちんと管理しないと、従業員はさぼるし、効率が落ちかねないという「労務管理主義」です。
しかし、右肩上がりの時代はとっくに終わった。
物・サービスがあふれている。
労働単価が上がり、「ふつーのもの」を効率的に作るには、労働単価が安い海外の国に負けてしまう。
こうなると、新しい価値のあるもの・新しいサービスを生まなくてはなりません。
だから、「自由な発想」が必要になるわけで、そのためには、本来様々な価値観を持つ従業員に、パフォーマンスを発揮してもらわないと、グローバルな競争には勝てないわけです。
だけど「ダイバーシティー」とか「両立支援」という言葉は、掛け声ばかりで、従来通りに「労務管理」をしていると中々上手く行かない。
だから、ダイバーシティ先進国の考えと制度・運用を学びたいと言われる企業が増えてきて、私にも「米国流」を教えてくださいというご相談・講演が増えているという理解です。
前回のブログで、ゴールドマン・サックスでは、「禁止されていなければ認める」という方向で、私の復職支援をしてくれた、それが最高に助かって、両立支援を考えるのであれば、そうあるべきだと申しました。
どういうことかというと、
(1)多くの企業は、制度の中で運用していると思います。
こんな感じで、制度とか、就業規定の中で、運用していて、
「就業規定で、OKと書いていないから、認められない」とか、
「前例がないから認められない」とか言って、結局、両立支援が進みません。
法律用語で申すと「限定列挙」型というか、書いてあることしか良しとしない。
(2)私が15年務めたゴールドマン・サックスでは、制度の外でも運用していました。
つまり「就業規定で禁止されていなければ認める」という考え方です。
これが、私の「がんからの復職」には、大きな「力」になりました。
なぜなら、制度を作るには時間がかかります。
制度維持には、コストもかかります。
でも、運用は「今すぐ実行に移せて」「コストゼロです」。
運用実態にあわせて、制度を変えていくことを検討する、
な~んて、ゆっくりやっていると、
今まさに、前線で苦労している「働き盛りのがん患者たち」の要望が汲み取られにくい状況になるわけです。
まずは、考えを「会社が管理する」から「従業員のために」「従業員のパフォーマンスが上がるように環境を整える」という方にもっていくべきではありませんか、とお伝えしております。
もちろん、急にそんな方針転換なんかできないと嘆かれる会社さんもあると思うし、それも理解できます。
それでも、米国流の両立支援を学び、「そういう考えもあるのか」と理解することは、ファーストステップとして大事だと思います。