❏❏❏ 回顧録:2007年3月10日 自宅
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「自分の場合、精巣腫瘍を発病する原因は何だったのか?」
そんな癌(がん)の原因などと言う壮大なテーマ、医者達が未だ究明で来ていないのに、私が解る訳もない。
なのに、答えを探そうとしていた。
しかし、不思議と心は腐っていなかった。
つまり「何で、俺が癌になんかなるんだ。ひどいじゃないか」の類の感情は無かった。
それは、木村先生がこの日、教えてくれた、ランス・アームストロング選手(*)のことを知っていたからだ。
彼は、プロの自転車乗りで、ツール・ド・フランス選手権で優勝するような選手だったと言う。
同じ精巣腫瘍を患い、がんを乗越えた選手だと教えてくれた。
「そんなプロのスポーツ選手ですら、癌(がん)になるんだ」
そう、早い段階で解っていた。
だから「なぜ自分が、癌にならなければいけないんだ」という、腐る気持にはならなかった。
(*)アームストロングは、ドーピング(薬物使用)が発覚し、ツール・ド・フランス優勝の輝かしいタイトルは全て剥奪される。そして、世界中の多くのファン達が失望する。
しかし、私にとっての彼は、未だにヒーローである。なぜなら、「癌(がん)を克服した英雄」であることには変わりないからだ。恐らく、そう感じている癌(がん)患者達は少なくないだろう。
昨夜は、夜中に3回も起きた。
汗をいっぱいかいたからだ。
汗だくになり、起きては着替え、また寝た。
骨折で入院していた時に、こんなことなかった。
「何が起きたんだろう?」
自然に不安になる。
考えてみれば、夜中、暑くて汗をかくことなんか、普段の生活で幾らでもあるはずだ。
しかし、私は癌(がん)を告知された身だ。
普通のことが普通と思えなくなっていた。
すべてに怯えていた。
※ がんを克服した英雄・ランス・アームストロング選手には、大いに勇気づけられた。