7、合体(がったい)

     Combination


 だんだん、中心に向かって行く・・・。


体の準備が整うまで、いつまででも触っていたいと

思う。でも、溢れて来て、我慢も限界だな、と感じて

体を重ねる。1つになって行く・・・。この湿った暖か

さが幸せな気分を運んで来てくれる。1つに繋がっ

たまま、唇を、また合わせる。


「?!★☆!?」


 ど、どうしたんだ?!。見える。全てが見えるのだ。
顔も、首も、胸も、腰も、溶け合っている所も、脚も、
そして全体も、全てがテレパシーを使っている時の

ように、言葉ではなく映像で見えるのだ。目をつぶ

ってみる。やはり、全てが見える。


「あっ!、ヒロシも全部見えたでしょう(^^)!。これ
、ものすごく気持ちいいよね!。」


「美子は、いつも見えてたの?。うん、すごい。今は
あっという間にイッちゃうかも^_^;。」


「目を開けててもつぶっても全然変わらないでしょ?」


「うん。きっと、テレパシーの映像ヴァージョンなん
だね。」


と、その時、俺は反重力を感じた。カラダが、ふわっ
と・・・、違う。カラダは浮き上がっていない。意識が

浮き上がったのだっ!。次の瞬間、美子の中に、

今度はものすごい重力で引っ張られた。


「あ、あぁぁぁぁっ!」


 俺は叫んだ。でも、肉体から遊離してるんで、実体

を持つ声にはならない。俺は美子とひとつになってる

部分に凝縮されて行く。とってもあったかい液体に
包まれて行く。体内って、こんなに液体ばっかりなん
だなあ。とても心地いい。


 こんなに小さくなったのに、ちっとも窮屈じゃない。
水の中にいるのに、不思議に苦しくない。回りはみん
な薄いピンク色。粘膜。何かに吸い上げられるように
引っ張られて、美子の子宮へ。複雑な形をしている。


 あれ?。でも、この形、どこかで見たことがある。
どこだっけ?。ほら、やっぱり。この、タマゴ型の所
に管が突っ込まれたような形。この管は、卵巣と繋が
ってるみたいだ。


 それにしても、こんなに温かいものなのか・・・。
体温の温かさだけでなく、なんだか安らぎを感じる温
かさだ。


 次々にいろいろな器官を通る。そして・・・、心臓。
 
 あれ?。これはわかりやすい。ピッタリくっついて
るけど「メビウスの輪」だ。メビウスの輪が、ドクン
ドクン脈を打ってる。子宮とは全く逆の激しさを秘め
てる。


 どんどん上昇して行く感覚。すーっと真っ直ぐ昇っ
て行く。今度は、急カーブして・・・、脳だ。


 思い出した!。子宮で感じた形。すーっと来て丸い
頭の中に入った瞬間に思い出した。「クラインの瓶」
だ!。道、チューブ、空間、宇宙。表と裏の区別がな
い構造。脳って、こういう構造をしてるから、無限に
フィードバック出来るんだなあ。たしか、クラインの
瓶は、2つのメビウスの輪をその境界に沿って貼り合
わせて出来る形だって、位相幾何学(トポロジー)の
授業で言ってたような気がする。


 そうすると、クラインの瓶は、メビウスの輪を2つ
貼り合わせたモノだから、子宮で2つ、心臓で1つ、
脳で2つの合計5つのメビウスの輪を美子は持って

るんだね?。


 ん?。うわーっ、綺麗なシルエット!。というか、
虹のような7色の光が錯綜したような、不思議な姿

が目の前にあった。


 「ヒロシも心臓で1つ、脳で2つ、合わせて3つの
メビウスの輪を持ってるんだよ(^^)。」


「美子?。そういうシルエットも艶かしくていいね。」


「もう、ヒロシにそんなコト言われるとテレるよ。」


 美子は、うつむき加減になって、でもまた顔を上げ
て、俺に言った。


「私も最初、解らなかったんだけど、柴田さんに言わ
れて、国産みのメカニズムを少し考えたんだあ。」


「え?。そんな難しいこと、考えたら解るの?」


「ん~ん。解らないけど勝手に言うと、たぶん、男と
女が揃わないと子供が出来ないのは、メビウスの輪

が8つ必要なんだよ、きっと。8って末広がりだし、形
はインフィニティーを立てた形でしょう?。新しい命
を∞(無限大)のパワーで産み出すんじゃないかな?」


「へー、美子ってそういうコトも考えるんだ?。ちょ
っと意外で、びっくりした(^^)。」


 微笑んだけど、わからないよなあ。俺も美子みたい

に7色の七宝焼きみたいなシルエットが光の渦のよう

に、ぐるぐる回ってるだけだから。


 「もしそうだとすると、国産みもそのメカニズムが必
要だから、イザナギ、イザナミがカップルとして必要

だったことになるよね?。でも、兄妹だけど・・・。」


「そうだよね。最初、蛭(ひる)子が生まれたりしたの
は、そういうことも関係してたのかも知れないと思うの」


 美子が言う。


「神話の世界では、イザナミが女性なのに先に誘った

のが原因ってことになってるけど、本当はそういうこと

もあったのかも知れないね。」


「うん、きっとそうだと思う。」


 美子は、顔が解らないから表情は読めないけど、なん
だかモジモジしてるみたいに見えた。


「どうしたの?」


 俺が訊くと、


「せっかく、えっちしてるのに、この格好になって話し
てると、カラダの気持ちよさは感じられなくて、ちょっ
と残念だから・・・。」


「あ、わりー。じゃあ、戻ろう!。」


・・・。


「ふーっ・・・。」 


 意識とカラダがいつものように戻ってから、俺達はし
ばらく絡まってた。心の充実感は、初めて感じる不思議
な体験だった。


 美子は、また汗を拭いて眠ってしまった。俺の腕を枕
にするまでもたずに眠った。よく寝るヤツだ(^^)。


 いろいろなものにシンボルが存在したり、それが数字
だったりするのは、偶然じゃなくて、しっかりした理由
があるのかも知れない・・・。




にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ    ←出来れば、このアイコンが嬉しいです。
にほんブログ村



人気ブログランキングへ



blogram投票ボタン


このアイコン、押してね(^^)。ありがとうございます<(_ _)>。