中学3年生の岡聡実と四代目祭林組若頭補佐の成田狂児との奇妙な友情を描いた物語。
コンクールの日、成田狂児は歌を教えてほしいと合唱部部長の聡実をカラオケに拉致する。何でも狂児のいる組では年に4回カラオケ大会が開かれ、そこで歌ヘタ王になると組長に下手くそな刺青を彫られるという。それが嫌な狂児は何としてでも歌ヘタ王を回避すべく、カラオケで聡実の指導のもと特訓を始める。
昨年の正月映画だったようです。ゴジラ-1.0を見た時に予告編を見たのかな・・・、かなり印象に残ったので、NETFLIXで観てみました。
とても面白い映画でした。コメディなんですけど、ヤクザの若頭と真面目な中学生のやりとりが怖面白いんですけど、その陰に主役の合唱部部長の中学三年生の岡くんの思春期を乗り越えるというテーマが隠れてるんですね。
岡君、ボーイソプラノなんですけど、声変りが始まって高い音域が出せなくなっている。そのせいもあってか、冒頭の合唱コンクールで3位銅賞に終わってしまった。昨年は、優勝して全国大会に出場したのに・・・。
私、小学校の時に合唱部にいて、合唱コンクールにも何回か出たことがあるんです。映画で中学生の合唱部の歌が流れるんですけど、「上手い!!」。これ、入部自由のクラブ活動では出せない音だと思いました。入部にさいして、合唱向きの声質の人限定で入部させないと、こういう音にならないんですよね。全国を狙うクラブなら当然ですけど・・・。
閑話休題。
狂児も下手なんですけど、組員たちがそれぞれに下手な歌を歌う時に、岡君が寸評するんですけど、それがまた的確で、最後に「自分の歌を聞いてみてください。」と言うんです。
自分がどんな人間なのか、どんな歌なら歌えるのか、それを知らなくては、歌は上手く歌えない。
大人になるのと同じことが必要ってことですよね。目の前に居並ぶヤクザのおっさんたちを見て、高い声が出なくなって、未来が限定されていく、自分の未来を見る。横に狂児のアニキがいて・・・。狂児のキャラもいいですね。あくまで岡君には優しく、しかしヤクザの怖さは十二分に見せてくれる。
また、岡家の両親もキャラがいいんですよね。大阪弁のゆったりした感じで・・・。両親は、息子の思春期の悩みを見守ることしかできないんですが、それで十分。
繰り返して見られる映画だと思いました。