2003年、ネット社会ではゲームや映画、音楽などを正規の料金を支払うことなく違法コピーするユーザーが200万人に達していた。それは、Winny(ウイニィ)というファイル共有ソフトを悪用することで生まれた技術だった。警察は違法アップロードを繰り返す犯罪者たちを一斉検挙し、Winny開発者であるプログラマーの金子勇も京都府警に任意同行を求められた。
 金子は、コンピュータ技術は天才的だが世間知らずで、純木な青年だった。金子の無知を利用した警察は、Winnyの開発をやめるという誓約書と称して、著作権侵害に繋がる技術と認識していたという調書を自書させ、金子を帰宅させた。半年後に、著作権法違反幇助の罪で逮捕される金子。弁護を引き受けた弁護士の壇や桂たちは「開発者に罪はない」という主張のもとに裁判に挑んだ。

 

 

 有名なファイル共有ソフトWinnyと、その開発者・金子勇氏の、Winny開発後に警察に逮捕され、一審裁判で有罪になるまでを映画化。

 

 ソフトウェアの開発者を起訴するという、かなり無理なことやったことで、日本のソフトウェア開発を委縮させたと、当時から言われましたね。その経緯がよくわかりますし、映画としての出来もいいです。

 主演の東出昌大は、純朴さが出てますが、天才プログラマーの雰囲気がないなと思いました。映画の最後に本物の金子氏が、控訴審、上告審ともに「無罪」を勝ち取り、インタヴューを受ける様子が出てきます。本物は、相当に賢そうでした。東出ほどいい男ではないけど、ちょっと似た雰囲気がありましたね。

 

 この一審での、検察側の求刑は、懲役1年ですが、判決は罰金150万円。無理筋の起訴だけど、日本は、刑事事件で起訴されたら、99%有罪なんですよね。この映画の中でも、刑事事件で「無罪」を勝ち取るのは、弁護士の一生に一回だと言ってます。なんか、映画の中ではインターネットが何のことかわからないおじいちゃんの裁判官が検察の勢いに圧倒されたように見えました。

 

 ネット民が、大挙して寄付をして、裁判費用が賄えた。みんな金子氏を応援してたんだなと思って、胸熱でした。