人間は、柔らかく、弱い生き物だ。頻繁に空気、水、食物の供給を必要とする;その人生の3分の1は眠っていて、気候が暑すぎたり寒すぎたりすると働けない。

 しかし、ロボットは、強力な金属でできている。直接に電気的エネルギーを使い、眠らず、どんな気候でも働くことができる。それは、より強く、効率的で、そして時に人間よりも人間的だ。

 

ロボット三原則
第1条:ロボットは人間に危害を与えてはならない。 また、人間に危害が及ぶのを看過してはならない。
第2条:ロボットは前掲第1条に反する恐れがない限り、人間に与えられた命令に服従しなければならない。 
第3条:ロボットは前掲第1条及び第2条に反する恐れがない限り、自己を守らなければならない。

 

 邦題「われはロボット」で知られる、今に残るアシモフの古典的名作SF短編小説集。

 

 アイザック・アシモフは、1920年にロシア・ソビエトに生まれ、3歳の時両親とともに家族でアメリカに移住し、ニューヨークのブルックリンで育った。

 1917年がロシア革命なので、1920年代の終わりごろまでに、200万人以上のロシア人たちが海外に移住しました。アシモフ一家もそういう共産党の支配するロシアを逃げ出した人たちの一部ということでしょう。

 15歳のとき飛び級でコロンビア大学に入学し、小説も出版社に持ち込みを始める。大学院に進学し化学を専攻する。そのかたわら小説をSF雑誌に発表。

 この「われはロボット」も、初期の代表作だそうです。

 

 上にあげた有名なロボット三原則は、原則を考えてからそれにそって小説を書き始めたのではなくて、書かれたロボット小説群から人間とロボットとの間にこのような道徳律があるねということで、指導にあたった編集者が抽出したものだそうです。

 

 ロボットってマインドの部分は、コンピュータにならざるを得ないわけで、小説に出てくるようなコンピュータの振る舞いは不可能だと思いました。

 どちらかというと、自閉症的な人や、統合失調症的な人の心性を表してるような気がします。

 

 最後の“EVIDENCE”で、ロボットではないかと疑われるByerleyという人が出てくる。Dr. Susan Calvinは、こういう。

”もし彼がロボット三原則のどれか一つでも破れば、彼はロボットではない。もし彼がロボット三原則のすべてに従うなら、彼はロボットかもしれない。もしくは、単に善人なのかもしれない。”

 

 アシモフは、ロボットの物語に仮託して人間のモラルの話を書いたのだと思います。