娘のケイ(エリザベス・テイラー)を新婚旅行に送り出して、弁護士のスタンリー・バンクス(スペンサー・トレイシー)は披露宴の残骸の中へがっくり身を落とした。ケイが、バクリー・ダンスタン(ドン・テイラー)という青年と結婚したいと両親を驚かしたのは、何ヵ月前のことだったか...

 

 「花嫁の父」って、有名な映画ですよね。その前から「花嫁の父(Father of the Bride)」という言葉があったのか知りませんが…。昔、何かの経済紙に銀行というのは、事業を陰で支える「花嫁の父」のようなものでなくてはならないというような記事があって、そういう「花嫁の父」という立場があるのかと思ったものですが、この映画観てよく意味が分かりました。スタンリーの苗字は、バンクスさんだし・・・。

 

 っていうか、こういう映画だと思ってなかった。最初こそ、愛娘を男に取られるというような感情てきな問題もあるのですが、結婚式と披露宴にかかるお金の金額が細かく語られるのを聞いているとめったに見ないブラック・コメディーという感じを呈してきます。私が一番可笑しかったのは、スタンリーが、ケイに「お前たち、駆け落ちしないか?」ともちかけるところ。駆け落ちしてくれたら、披露宴も結婚式もしなくていいから・・・。たしかに・・・(笑)。

 

 披露宴の招待客に一人当たり、US$3.75かかる。1950年の3.75ドルって、今ならいくらだろう?そういう換算サイトがありました。1950年の貨幣価値は、2021年に11.67倍になるそうです。12倍とすると、US$45。日本円で6千円ぐらいですかね。招待客は絞り込んで250人。この映画のなかだと、花嫁の実家で披露宴をやって、ウェディング・ケーキも注文しないで、節約しているけれど花嫁の衣装や花、新生活の支度などでUS$3000からUS$5000ぐらいにはなりそう。そして結婚式・披露宴の費用は、花嫁側がほぼ全額負担するらしいです。アメリカ人は、あまり貯蓄をせずに消費をする人たちらしいし、日本のように招待客から現金のご祝儀がもらえる習慣もないみたいなので、初めて娘を嫁に出す父は悪夢を見るよう・・・(笑)。

 

 このときケイ役のエリザベス・テイラーは18歳で、ウェディングドレス姿は思わず息を飲む美しさ。私、エリザベス・テイラーの映画って、「クレオパトラ」ぐらいしか見てないけど、やっぱり若いっていいわ・・・。世界的大女優です。

 

 教会の挙式で花嫁を花婿に手渡した後、スタンリーは娘と話す機会もない。自宅の披露宴は招待客でごった返し、ハネムーンに出かける2人と別れの挨拶をする機会もない。ライス・シャワーが降る雨のように投げられる中、花嫁と花婿は招待客から逃げるようにハネムーンの車に乗り込む。

  この映画見ると、アメリカの中産階級がどんな生活をしているのかわかる感じ。昔、リチャード・ギアがやった「シャル・ウイ・ダンス?」のリメイクで、ギアも弁護士をしてましたが同じくらいの生活水準かなと思います。郊外に庭つきの戸建てを持って、1950年代ですので黒人のメイドを雇ってますが、それほど豊かでもなさそう。やっと中流の暮らしを手に入れたぞという感じがでています。

 

 最後は、披露宴の残骸の中妻と抱き合う。花嫁の母は、18歳で結婚して娘が20歳なので、40そこそこで十分女ざかりで美しい。ここは、キリスト教徒ですね。キリスト教徒は、子供よりも親よりも、伴侶が優先なんですね。