ヴァン・ホッパー夫人のコンパニオンとしてモンテカルロのホテルにやってきた「わたし」は、イギリスの大金持ちであるマキシムと出会い、恋に落ちる。マキシムは1年前にヨットの事故で前妻レベッカを亡くしていたのだが、彼女はマキシムの後妻として、イギリスの彼の大邸宅マンダレイへ行く決意をする。
多くの使用人がいる邸宅の女主人として、控えめながらやっていこうとする彼女だったが、かつてのレベッカづきの使用人で、邸宅を取り仕切るダンヴァース夫人にはなかなか受け入れてもらえない。次第に「わたし」は前妻レベッカの見えない影に精神的に追いつめられていき、遂にはダンヴァース夫人に言われるまま、窓から身を投げようとしてしまう。
そのとき、偶然に上がった花火の音で「わたし」は正気を取り戻すが、それは座礁した難破船が上げた救難信号だった。程なくその難破船の下から小型船がダイバーによって発見される。見つかった船はレベッカのヨットで、船内からレベッカの死体が見つかる。レベッカは嵐の夜にヨットで遭難し、流れ着いた死体をマキシムが確認して既に葬られていたとされていたことから、改めてレベッカの死因が調べられることになる。
ダフネ・デュ・モーリエの同名小説を1940年にヒッチコックが映画化した作品。見事な映画化で、最初のモンテカルロでのデートの様子やキューピッドの陶器の人形を割ってしまうところなど、本筋に関係ない描写が、上手く省かれています。
それでいて、デュ・モーリエの小説の雰囲気がすごくよく出ている、というより小説がヒッチコックの作風にぴったりなのかもしれません。
原作では、マンダレイに放火するのが誰なのかは明らかにはされていない(明白ではあるが・・・)が、原作より映画の終わり方の方が、ハッピーエンド風になっていて好ましいと思いました。
マキシム役のローレンス・オリヴィエは、ヴィヴィアン・リーの旦那さんですが、「わたし」の役は、ヴィヴィアン・リーは違うなあと思いますので、ジョーン・フォンティンでよかったと思います。ジョーンは、オリヴィア・デ・ハヴィランドの妹さんです。
何気に思ったのが、ローレンス・オリヴィエって、テニス・プレイヤーのアンディ・ロディックに似てるなと思います。