団体戦のワリエワのFS
エテリ・トゥトベリーゼのチームについて特に興味も持ってませんでしたから、今回のワリエワ騒動がなかったら、ロシアの女子フィギュア選手の名前も憶えなかったろうなと思います。
フィギュアのシングル種目は、オリンピックや世界選手権でも、予選の最初の滑走者から見てると途中で飽きてくる。だから、団体戦楽しいんですよね。人数少ないし、種目が次々代わるし・・・。
閑話休題。
ロシア女子シングルの3人の代表を比べてみるのは、初めてでした。
3人とも、同じ体形をしている。まず、細い。そして腰幅の張った体形の人がいない。
ロシア・バレエの名門アカデミーのように、まず最初に体形と家族に肥満者がいないかどうか調べて、入学者を選別するようなことをやっているのではないか・・・。
そして、大してジャンプ力もない。今回の五輪の放送では、フィギュアの放送で画面に左下に飛距離や跳躍した高さが出る場合がある。それを見てても、40cmを超えるようなジャンプをしてない選手が多い。最初不思議に思いました。どうして4回転がそんな高さで跳べるの?
体形と技術に秘密があるようです。一度飛び上がって回転する場合には、体が細い円筒形をしていればいるほど、慣性の法則が働いて回転速度が速くなる。ワリエワがジャンプのとき両腕を頭上に伸ばすのも、円筒形に見立てた体の直径をできるだけ小さくして、回転速度をはやめるためなのだそうです。そして、ロシアの女子選手のジャンプは、跳躍の前から上体の回転を始めている。
そして、年齢。前回も15歳のザギトワが優勝した。4回転を競うのだとしたら、もっと低年齢の選手が有利なので、15歳がピークになって、次のオリンピックの時には、引退している年齢になっている。19歳になると、体重が増えてジャンプが跳びにくくなり、もはやロシアの国内予選を勝ち抜けないのです。
ロシアの名門バレエアカデミーであるワガノワスクールのドキュメンタリーが、YouTubeにあるのですが、すごく過酷です。教師が、太らないために生徒に断食させるようなことも平気でやっています。一方で、寮生活の生徒が洗濯しようとすると、寮に洗濯機がない。ロシア経済、うまくいってないですね。
ただ、違うのは、フィギュアのようなジャンプがないため、毎年毎年進級できずに脱落していった者を除いて、18歳で学校を卒業してプロになるにあたり、自分で自分の道を選択しているところです。ちゃんと、バレエダンサーには、未来があるということです。
ロシアという国が、スポーツでオリンピック、世界選手権、ワールドカップなどに勝つことが国威の発揚になると信じているところがあるようです。何としてでも、勝とうとする。個人も、国も。スポーツに勝ったからって、世界で先進国として認められるわけじゃないし、その発想がそもそも古臭い。スポーツが安定的に強いことでわかるのは、その国が経済的に豊かだということくらいでしょうね。
未来のないフィギュア選手は、メダルを取らなければ、17歳になったら引退して終わりということになる。
今回、ワリエワが個人戦のFSでほとんどの4回転ジャンプを失敗して、4位に下がったあと、メディアに、「これで少なくとも表彰式ができる。」と言ったと報じられた。
15歳のワリエワは、フィギュア選手として強くなったのも、個人戦で4位に順位を下げたのも、周囲の期待に応えたからなのでしょうね・・・。
可哀そうに・・・。