3人の高齢者が長年働いていた会社が買収され、会社が積み立てていた従業員のための年金が再編費用に回されてしまった。3人は絶望の淵に立たされたが、そのうちの一人が銀行強盗を目撃し、事態を打開する策を思いつく。自分たちの年金だったはずのお金を保有する銀行を襲って、老後の資金を取り返してしまえば良いではないかと。

 

  マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、アラン・アーキン、全員撮影当時で、80歳代の前半のオスカー俳優。それほど演技力が必要な役ではないように思うものの、はしばしに見せる演技の幅や繊細さが、魅力的です。

 

 話の内容は、リーマンショック後のアメリカを象徴していて、むき出しの資本主義が、新しく開拓できるフロンティアを失って、無知な庶民や年寄りを食い物にする。それに破天荒な復讐をするのをコメディにして見せています。

 

 マイケル・ケインの演じたジョーが、サブプライム・ローンの犠牲者にされるところなど見てると、最初の利息がかからない期間がつづくようにだまして、2・3年後に3倍の支払いが必要になるというあくどい手口を使った銀行に復讐しようとするのも理解できるかなと思います。

 

 オリジナルのタイトルは、“Going in Style”で、日本語だと「スタイリッシュに行こう」ぐらいでしょうか・・・。日本語のタイトルがベタ過ぎて、ちょっと残念。

 

 破天荒な計画なのに、自暴自棄にならずに用意周到に予行演習などをするところが、コメディの要素になってます。ジョーの娘婿が紹介する“悪い奴”が、

 

「強盗は、芸術だ」

 

というところが、面白い。決まったやり方はなく、強盗ごとに個性的ということでしょう。

 

 でも、全体的に眺めた時、銀行はたしかに強欲だけど、ふつうのアメリカ人も、強欲だよなと思います。自分たちの年金を取り返すという名目ですけど、年4万5千ドルの年金って、そんなの退職後20年も30年も払える会社、世界中のどこにあるの?