「人間というのは、大地に生きる存在だよね。土地を踏みしめて歩むのが人間なのだ・・・」

ドイツの哲学者が娘アニマに語る形式で書かれた世界史。

 

 世界史といっても、モンゴル帝国とか出てきません。日本という言葉が出てくるのも1回だけでした。

 あくまで、ヨーロッパ人から見た世界史ですね。陸の国と海の国の攻防。それが海洋国家イギリスの勝利で終わり、そこから空(空間)という要素が加わり始めたところで、この本は終わっています。

 

 昔、イデオロギーの戦いだと思ってた自由主義・資本主義対全体主義・社会主義の対立も実は、海の国と陸の国の対立だったのかと目から鱗が落ちた気がしました。

 御大層に見えたイデオロギーなんて、理屈と軟膏はどこにでもつくの軟膏と同じものだったわけだ。

 

 米中対立でにぎわうNetの記事や動画ですが、こういう本など読んでおくと、あんまり中国憎しみたいな気持ちにはならないかもしれません。陸と海(アメリカは海側になるんです。)の対立なんだなと納得できます。

 

 日本ももちろん、海側ですね。

 

 著者は、憲法学者・法哲学者ですが、娘に語ってきかせるという体裁をとっているので、特に難しい言葉などは出てきません。しかしながら内容は知的で深い。久々に硬い本読んだなという感じがしました。