第二次大戦中、ニューヨークのホテルで暮らすマダム・フローレンスは、夫のシンクレアに支えられ、オペラ歌手志望でカーネギーホールで歌うことを夢見る。ただ彼女の歌には、重大な欠陥が・・・。テンポも音程も無茶苦茶なのだ。

 メリル・ストリープの他の映画を探してたのですけど、偶然プライムビデオで見つけて面白そうだったので、鑑賞してみました。

 実話に基づく話だそうで、フローレンス・フォスター・ジェンキンスは、実在の人物です。以下に”本物”の歌唱が・・・。



 映画の中でメリル・ストリープが歌ってるのが、かなり上手に思えるほど、本物のジェンキンス夫人の歌唱はすさまじいです。ですが、魅力と技術は、別のもの。いまだにレコードが買えるほどの人気を誇っています。メリル・ストリープは、オペラ歌手志望だったのですよね。

 英国貴族の庶子だというシンクレアは、誰もが遺産目当ての若い夫だろうと思うところですが、相手役がメリル・ストリープだとそうは問屋が卸さないのですよ。
 哀れで純粋で愛らしいフローレンスに誠の愛情を注ぐのです。

 ですが、「本物」のフローレンスは、以下のようなセリフを残しているので、自分が人々から認められている歌い手だと考えてはいなかったことがわかります。

”People may say I can’t sing, but no one can ever say I didn’t sing”
(人は私が歌えないというかもしれないけど、誰も私は歌わなかったとは言えないでしょ。)

 彼女は、歌いました。確かに、カーネギーホールで。
 金があれば、大半のことはかなえられますね。愛は金で買えないかもしれないが、金があれば浮世の汚濁に染まらない純粋さを保つことができる。
 夫も伴奏者も、彼女の純粋さを愛したのです。