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コミンテルンの謀略と日本の敗戦 (PHP新書)
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ロシア革命が成功したあと、レーニンは世界革命を遂行すべく、「コミンテルン(共産主義インターナショナル)」をつくる。それは恐るべき思想と悪魔的手法に裏打ちされた組織であった。そして大日本帝国は、やすやすとその謀略に乗せられ、第二次大戦に追い込まれていく。なぜ、そうなってしまったのか? 実は、その背後には、日本の「自滅的」な大失敗があった。リヒャルト・ゾルゲ、尾崎秀実らが暗躍していたことは、よく知られたことだろうが、彼ら以外にも、軍や政府内部に入り込み、ソ連・コミンテルンの都合の良いように動く人々がいたのである。どうして当時の日本のエリートたちは共産主義にシンパシーを覚えたのか? ソ連型の共産主義社会をめざす「左翼全体主義者」と、天皇を戴きながら社会主義的統制国家をめざす「右翼全体主義者」は、いかにして日本を席巻したのか? そして左右の全体主義の危険性に気づき、その勢力に敢然と立ち向かった保守自由主義者たちの姿とは――? コミンテルンの戦略を詳述しつつ、日本国内の動きの謎を解き、隠された「歴史の真実」を明らかにする刮目の書。
この本、私にとっては、結構、感動的な書籍でした。
直感的に理解していた共産主義の暗い面をレーニン主義として詳述してくれているし、昔から疑問に感じていた日本の「保守思想」って何だろうというのを、両方明らかにしてくれています。
江崎氏も、大学の先生ではないんですよね。在野の評論家。現在は日本会議の専任研究員という肩書き。
第二次大戦の真の勝者は、ソ連というのが、この本読むとよくわかります。でも、もうソ連ないんだよね。そこが虚しいというか。ソ連のエリートは、優秀だったんだな・・・。これもエリート主義の限界の結果なのかもな・・・。世界を共産化するのが目的で、コミンテルンは活動してたんでしょうが、他国も自分たちと同じ政治体制にならなくてはいけないというのは、恐怖から出てくる発想ですね。
でも、現在の後継国ロシアの国民一人当たりのGDPは、8,748.36 USD (2016年)。単なる資源輸出国です。共産化するのは、資本主義のない貧しい国なんだろうなと思うんですけどね。中国もその当たりで止まりそうですし・・・。
知識がなく民度も低い低開発国が、独裁や全体主義に陥るのは、自然の事なのかなと思います。
日本もアメリカも経済政策の失敗から、左翼に浸食されるんですね。そこが、自由主義の弱いところです。しかし、守り抜かねばならない重要な価値観でもあります。
日本の支配層の戦前から敗戦にかけての雰囲気が知りたい人に、是非お勧めの1冊。
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