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デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論
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皆さんが学校でこんなに熱心に勉強して、塾にも通って、就職してからも毎日長い時間を会社で過ごし、有給休暇もほとんど取得せず、一生懸命働いているのに、「生産性は世界第27位」と言われて、悔しくないですか。先進国最下位の生産性と言われて、悔しくないいですか。私は、悔しいです。日本はこの程度の国ではありません。やるべきことをやり、潜在能力をいかんなく発揮すれば、「所得倍増」「GDP1.5倍」は必ずや実現できます。本書がその一助になれば幸いです。(カバー見返しより)
小西美術工藝社代表のアトキンソン氏の「日本は生産性を上げろ」論。今、人手不足と言われているので、この生産性を上げろ論は正しい処方箋なのでしょうね。
面白かったのは、日本の文化財のオーナーに経営相談を受けて、拝観料にクラスを設けろという下り。「新幹線にもグリーン車、普通指定席、自由席と松、竹、梅の3クラスがあるのだから、庭と外観だけ、庭と建物の中、すべて拝観と文化財のガイド付きの3コースで値段に差をつけろ」とコンサルしたら、オーナーが色々理由をつけてやろうとしない。理由が理由になっていないとア氏が嘆くところが・・・。氏は、まだ「空気」という言葉をご存じないらしく、この本の中に出てくる生産性を上げることに対する経営者達の抵抗を、「空気」という言葉では表現してらっしゃいません。
自分の会社の職人達との交渉の様子も、巧まざるユーモアがあります。なんていうか、偉ぶらないお人柄なんですね。この人。「職人魂」を振りかざす職人達に、
「小西美術工藝社の裏庭には、一万円札の実る木があるわけではありません。給料に経済原則があるように、アウトプットにも一定の原則があります。職人は、特別な存在で生産性など関係ないと経済原則を否定するようなことを言うのは、給料というインプットも放棄することと同じです。皆さんはご奉仕でこの仕事をしてくれますか」と言ったと・・・。
たしかに、「ない袖は振れない」が、一番効きますね。
でも、最近街中で、全国チェーンを展開している飲食店など、数年前まで現金一辺倒だった場所でも、随分電子マネーの使える場所が増えたし、そのうち一気に「空気」が変わるときが来ると思います。飲食店で現金揃えておくのがいかにコストが掛かるか考えたら、これも立派に生産性を上げる一助。
この人、京都の町屋保存会の会長みたいなこともしてらっしゃるんですけど、ヨーロッパ人は古物好きだから・・・。でも、日本の伝統継承の本質は、過去からの技術の世代間の継承であって、古物の保存ではないと思うんですけど・・・。平屋の家を京都の街中に残せるのかという経済合理性との兼ね合いは、どうなんでしょう?京都の町屋がそんなに綺麗だという印象がない私には、???という感じですけど・・・。

