たまたま、白鳥の湖のDVDを買ったので、チャイコフスキーの三大バレエの3つの作品を紹介しておこうかと思います。
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「白鳥の湖」は、バージョンがいっぱいありますし、バレエ団ごとの特色もあります。貼ったのは、キーロフ・バレエの1990年版。マハーリナ&ゼレーンスキー主演。丁度ソ連崩壊のころで衣装などが地味な感じ。
現在は、マリインスキー劇場の名称にもどってます。サンクトペテルブルク(旧レニングラード)にあり、世界最古のバレエ団で、もとはロシア帝室のものだったので、大変優雅な踊りを特色としています。また、最も古典的な白鳥の湖が見られると言っていいと思います。
マリインスキー劇場の舞台は、日本公演を何回か見たんですけど、白鳥の水面に映る影をつけた人形が舞台奥を左から右に通り過ぎる面白い場面があって、こういう小道具の演出も伝統なんでしょう。ロシアでは客席から拍手がおこるようです。
他には、舞踏会シーンのスペインの踊りの振り付けが好き(扇を持って海老反りになるやつ)。ボリショイなど他のバレエ団では振り付けが違います。
白鳥の湖は、古典バレエを代表する作品になってるんですが、やっぱり物語の構成が面白いからだろうと思います。3大バレエ全てに悪の要素が出てきますが、主役のオデットが悪魔の娘のオディールとして2役をこなすのは、白鳥の湖だけ。1幕と3幕に白鳥のオデットが出てきて、2幕に黒鳥のオディールという色で性格を描きわけるんですね。
オデットは、真実の愛、貞淑、純情、オディールは、誘惑と挑発。
おとぎ話を下敷きにした作品としては、大人向けです。他の2作品には誘惑のシーンは見られません。
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『くるみ割り人形』は、クリスマス・シーズンに上演されることが圧倒的に多く、家族連れで見に行く慣習が日本でも定着しているのではないでしょうか・・・。演出は、大きく分けてクララが子供のままおとぎの国に行き金平糖の精を別の大人の主役が踊る版と、比較的大人のクララが金平糖の精になる版があります。
個人的にチャイコフスキーのバレエ音楽の中で一番素晴らしいのは、くるみ割りだと思うのですけど、どうでしょう。組曲の形でオケだけのコンサートでも、よく演奏されますね。
貼ったのは、吉田都さんが金平糖の精をやってるロイヤル・バレエのくるみ割りです。ライト版はクララが子供のヴァージョンです。
youtubeにさまざまなバレエ団のくるみ割りがupされてて見比べるのも楽しいです。くるみ割りは、最も演出の自由度が高い古典バレエの1つだと思います。
登場人物としては、ドロッセルマイヤーが謎の人で、悪ではないがこの世の者ではない感じなんですね。世に潜む魔の様な者・・・。そういう存在がいないと、おとぎの国の扉は開かないんですね。
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最後は、「眠れる森の美女」。貼ったのは、主役の2人が美男美女ということで選びました。
一番おとぎ話らしい作品ですね。全て通しでやると3時間になる豪華な作品なので、いろいろ省かれた短縮版になることが多いようです。
一番の役どころは、カラボスという悪い仙女。王女の誕生にリラの精たち6人が招待されたのに、自分が招待されなかったので怒って、王女が(20)16才になったら糸巻きの針を刺して死ぬと呪いをかける。
ハブられた恨みと言う奴です。性格の悪い人をハブってバレると面倒なことになる典型ですね。人間でもそうですもんね。おとぎ話というのは、人間の世界をことを象徴的に表すんです。
このカラボス、本来は女性の役ですけど、最近は男性がやったり、いろいろ工夫が凝らされています。
現在、男が演じることも多くなっていますが、女性のすごいカラボスと言えば、これかなと思うので貼りますね。
ロイヤル・バレエの芸術監督も務めたモニカ・メイソンのカラボス
すごくマイムがよくわかりますね。
カラボスの呪いは、リラの精の贈り物で無力化され、オーロラ姫は100年の眠りにつく。ハンサムな王子様があらわれ、王女にキスすると呪いが醒める。
また、怖いと同時に滑稽さもありますね。招待されなかったからって、王女を殺す呪いって、大人げない。
芸術の秋。秋の夜長にバレエ鑑賞いかがでしょう。