大人の友情 (朝日文庫 か 23-8)/河合 隼雄

¥497
Amazon.co.jp

夫婦、男女、そして上司と部下の友情とは?人生を深く癒やし、温かく支える「友情」について、臨床心理学者としての豊富な経験と古今東西の文学作品からときほぐす、大人のための友情論。

 2007年に亡くなった河合隼雄博士の一般向けエッセイ。むかし読んだことがあるような、ないような・・・。晩年、書店の一区画を河合先生の著作が平積みになって占めていましたので、内容は重複することも多かった。

 学問的知識に支えられた豊かな感情と深い教養からにじみ出る、温かいまなざしで人の魂の動きを書く本は、あまたの心理学者やカウンセラーに真似できない境地だったように思う。河合先生の代わりを出来る人が、今いるのだろうか・・・。

 今読むと、年代を感じるというか、臨床例に出てくる人がどうにも、古くさく感じるのですね。それに比べると、文学作品から例をだすときの生き生きした様子は、すぐれた文学評論のようになっていると思います。

 河合先生の一般向け著作を何冊か手元に置いておいて、心が疲れたときに読むとよいと思います。