奥田英朗『空中ブランコ』

空中ブランコ (文春文庫)/奥田 英朗

￥562
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ドクター伊良部シリーズ『空中ブランコ』『ハリネズミ』『義父のヅラ』『ホットコーナー』『女流作家』直木賞受賞作

　ついドクター伊良部が忘れられず、また買ってしまいました。前作より腕があがったというか、直木賞取っただけ有って、面白かったです。

　この中では、『義父のヅラ』が最高でした。列車の中などで読むと、笑いをかみ殺すのに苦労します。

　今回も、さまざまな神経症の症状を訴えてくる患者達が、なぜか伊良部総合病院の地下室の神経科を訪ねてくる。

　この本読むと、神経症のメカニズムなんて簡単なんですね。要は、自分が無理に抑えている願望を認めて、受け入れてしまえばいいってこと。

　『義父のヅラ』は、医学部教授の娘婿に収まった医者が、みんなが公然の秘密として守っているその教授のカツラを引っぺがしたくてしかたなくなってしまうという、脅迫神経症。笑えます。

　ドクター伊良部は、相変わらず５歳児のような、医者いらず、ストレス知らずの、自由なとんでも男。それでも彼にかかる患者は、いつしか彼のペースに巻き込まれて、直っていく。

　読むのは、楽しいけど、毎回ネタを考えるのは大変だろうなと思います。