period 4 (IKKI COMIX)/吉野 朔実

¥1,132
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父、戒人の心臓移植のレシピエントである裕福な宮澤の家で暮らすハルとヨキは、ネットの復讐サイトの管理人が、宮澤家の一人息子榊であることに気付く。
period 5 (IKKI COMIX)/吉野 朔実

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宮澤家を出たハルとヨキは、一軒家に暮らすこととなる。そこに従妹のマイラが現れる。マイラと同居することになった二人。大学生活を始めたハルは、高校の先輩の渉に再会する。
2年ほど前に完結していたらしい「period」、最近とんと漫画読まなくなってて・・・、気が付きませんでした。11年かけて完結したらしいです。
4は、結構少年漫画的な面白さです。ひきこもりも昔は土蔵に市松人形と一緒に暮らしてる少女みたいなイメージでしたけど、今はネットがあるせいかサイバーパンクの一部と化した感がありますね。まあ、これで1とつながりました。
5は、完結のための巻なんですけど、Amazonのレヴュー見てても、これだけ星評価が4を下回ってました。
それもそのはずで、ハルは突然
「どうしてわかった?
いつ気がついたの
僕が人殺しだって。」
と言うんです。渉に向けられた言葉だと思うんですけど、飛躍が大きい。吉野朔美ファンならこれを読まなきゃならないのかな・・・。
ハルが戒人をバットで殴ったことが原因で、戒人は亡くなった。その罰を受けていないことをハルは苦にしていたので、幸せになることを恐れてしまう。渉がそこまで考えて、ゴミ捨てに来た子供のことを
「悪いことをした子供は誰かが・・・
愛情のある人が正しく叱ってあげないと
心がとじてしまうんじゃないかって」
と言ったというのは、正常な会話ではない。父親をバットで殴ったという話を知っていなければ、渉はハルが人殺しだから目が見えない神経症になっているとは考えない。
ハルの心理が危なくなっているなら、そういう描写を少しその前に入れないと無理。そこらへんに不自然さが残るんですよね。
解決のきっかけは、地震だし・・・。2011年の震災体験でこういう結末を持ってきたのかな。なんかわかる気がする。日頃の快適な生活が壊れると、それだけで暴力にさらされてるような気がすると思いますもの。それまでいかに守られていたのかを痛感する。そしてこの社会に恨みを抱くより、快適なインフラを作り上げてくれた先人に感謝したくなる。
渉をのぞくと5に出てくる登場人物は、みな母親に捨てられた子供たちなんですね。母親に守られない子供というのは、それだけで世間の暴力にあってるようなものなんだと思う。
大人になっていくことは、社会に存在する様々な暴力から身を守り、かわし、撃退する術を身に着けることなのでしょう。たとえ守ってくれる人は、いなくとも。
でも、作品の中で一番魅力的なキャラクターは、実は父親の戒人ではないかと思います。彼の残酷さ、怖さ、計画性、愛情、ヨキが父親にケーキを持って行こうとするぐらいに、子供に好かれている。暴力さえなければ魅力的な父親なんです。そうでなければハルも父親の言いつけを守ったり、神経症になったりしないでしょう。
4までは、描き始めにすでに計画されていた筋書だったわけですけど、5はそうではなかった。なので、作者も悩んだんだなと思います。
periodは、住む場所ごとの期間のことだったようですね。単行本1冊ごとに、ちゃんとハルとヨキの居所が変わっていくのです。
ハルの病も、治癒ではなく、一応寛解したのかな。

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父、戒人の心臓移植のレシピエントである裕福な宮澤の家で暮らすハルとヨキは、ネットの復讐サイトの管理人が、宮澤家の一人息子榊であることに気付く。
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宮澤家を出たハルとヨキは、一軒家に暮らすこととなる。そこに従妹のマイラが現れる。マイラと同居することになった二人。大学生活を始めたハルは、高校の先輩の渉に再会する。
2年ほど前に完結していたらしい「period」、最近とんと漫画読まなくなってて・・・、気が付きませんでした。11年かけて完結したらしいです。
4は、結構少年漫画的な面白さです。ひきこもりも昔は土蔵に市松人形と一緒に暮らしてる少女みたいなイメージでしたけど、今はネットがあるせいかサイバーパンクの一部と化した感がありますね。まあ、これで1とつながりました。
5は、完結のための巻なんですけど、Amazonのレヴュー見てても、これだけ星評価が4を下回ってました。
それもそのはずで、ハルは突然
「どうしてわかった?
いつ気がついたの
僕が人殺しだって。」
と言うんです。渉に向けられた言葉だと思うんですけど、飛躍が大きい。吉野朔美ファンならこれを読まなきゃならないのかな・・・。
ハルが戒人をバットで殴ったことが原因で、戒人は亡くなった。その罰を受けていないことをハルは苦にしていたので、幸せになることを恐れてしまう。渉がそこまで考えて、ゴミ捨てに来た子供のことを
「悪いことをした子供は誰かが・・・
愛情のある人が正しく叱ってあげないと
心がとじてしまうんじゃないかって」
と言ったというのは、正常な会話ではない。父親をバットで殴ったという話を知っていなければ、渉はハルが人殺しだから目が見えない神経症になっているとは考えない。
ハルの心理が危なくなっているなら、そういう描写を少しその前に入れないと無理。そこらへんに不自然さが残るんですよね。
解決のきっかけは、地震だし・・・。2011年の震災体験でこういう結末を持ってきたのかな。なんかわかる気がする。日頃の快適な生活が壊れると、それだけで暴力にさらされてるような気がすると思いますもの。それまでいかに守られていたのかを痛感する。そしてこの社会に恨みを抱くより、快適なインフラを作り上げてくれた先人に感謝したくなる。
渉をのぞくと5に出てくる登場人物は、みな母親に捨てられた子供たちなんですね。母親に守られない子供というのは、それだけで世間の暴力にあってるようなものなんだと思う。
大人になっていくことは、社会に存在する様々な暴力から身を守り、かわし、撃退する術を身に着けることなのでしょう。たとえ守ってくれる人は、いなくとも。
でも、作品の中で一番魅力的なキャラクターは、実は父親の戒人ではないかと思います。彼の残酷さ、怖さ、計画性、愛情、ヨキが父親にケーキを持って行こうとするぐらいに、子供に好かれている。暴力さえなければ魅力的な父親なんです。そうでなければハルも父親の言いつけを守ったり、神経症になったりしないでしょう。
4までは、描き始めにすでに計画されていた筋書だったわけですけど、5はそうではなかった。なので、作者も悩んだんだなと思います。
periodは、住む場所ごとの期間のことだったようですね。単行本1冊ごとに、ちゃんとハルとヨキの居所が変わっていくのです。
ハルの病も、治癒ではなく、一応寛解したのかな。