前回紹介した、山本七平の「日本教」という言葉を小室直樹も使って日本人の宗教を解説してます。
橋爪大三郎の質問が明晰というか、すごく上手いので、わかりやすい構成になってます。
宗教が日本に入って来ても、役人が戒律を廃棄してしまうと小室先生が言ってます。役人というのは、山本七平の本には出てこなかったような。
でも、最澄が具足戒(出家者が修行のときに守らなければならない戒律)を廃棄してしまったというのがWikiに出てます。最澄は国費留学生なので、公務員と考えられるのかもしれませんね。
「自今僧侶肉食妻帯蓄髪等可為勝手事(今より僧侶の肉食・妻帯・蓄髪等勝手たるべし事)」という布告を明治政府が出して、浄土真宗以外でも肉食・妻帯・蓄髪等を可能にした。
儒教も、有名なのは中国では「孝」が最上位の徳目なのに、日本では「忠」にしてしまった。これをあらためたのは、武士ですから役人と言って差し支えないですね。
神様よりも、「人間」が大事という日本人の好みが最優先される。
「日本人は、自分たちが一番と信じているのか?」という問いに、
「信じてはいなくても、結果としてそういうことになる。」という答は絶妙ですね。
小室先生も「それを一般に理解させることは難しく、表面的には神仏を奉っている。」と言ってます。
小室先生がイスラム教と日本教は正反対の宗教だと言ってます。行動パターンがきっちり決まっているイスラム教は明治まで一切日本に入ってこなかった。私がイスラム教徒に感じる違和感の最たるものは、拝むもの(偶像)もないのに、土下座している人々かなと思います。女の人が髪や顔を見せられず頭巾をかぶっていたりするのを見ると「ああ不自由だな。」と思います。同じことを、日本の多くの人々が感じているのでしょうね。
神話ってこういう読み方をするのかというのが、日本ではアマテラス大御神も繭を育てて働いていた。だから日本人は勤勉なのだ。
たしかに、ゼウスが牛に化けて女の人に言い寄るとかそんなことばかりやってて、男神が女性を口説く話がものすごく多いギリシャ神話の民であるギリシャ人は、世界で最も性交回数の多い国になってますね。
小室先生は、山本七平の言った「空気」による決定を独裁者を好まない日本人の性質によるもので、あらかじめ「お膳立て」することによって「空気」を作りだすのだと言ってます。
「お膳立て」する人が、頭が悪かったり、悪辣だったり、情報を隠してたりしたら、悲惨なことになる場合がありますね。
別のところで橋爪大三郎が山本七平と小室直樹が日本教について対話する本の話をしてるんですね。
日本教の社会学 (1981年)/山本 七平

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