タテ社会の人間関係 (講談社現代新書)/中根 千枝

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日本列島における基本的文化の共通性は、江戸時代以降の中央集権的政治権力のもとづく行政網の発達によって、強い社会的単一性が助長されてきた。この日本社会の「単一性」こそ、人と人、人と集団、集団と集団、の関係設定のあり方を決定する重要な基盤となる。本書は「日本人の特質」ではなく、あくまで「単一社会の理論」と呼ぶべきものである。(著者「おわりに」より抜き書き)
すごく有名な著作ですけど、読んだことがなかったんですよね。今回初めて読んで、明晰な著述より先に、着物の長尺の話が出てきた時点で、50年ぐらい前の本かなという印象。奥付を見ると1967年初版発行、なんと2014年9で月第124刷。
私を含めて読まない人の多くが、日本のタテ割り行政みたいなのの分析の話と考えるかと思うんですが、ヨコ割り社会というものが多く世界に存在しているということを提示してそれとの比較考察が最初に来るのですよね。これが日本人である私にとっては、結構目からウロコです。
インドのカースト制度を差別という観点から見ると、このヨコ社会の特性を見誤る。ヨコの区割りの中で、競争にさらされずに失業の心配もなく生活できるという見方もあるというわけです。インドでは嫁と姑のけんかに嫁と同じ立場の他人が加勢にしにくるそうです。タテ社会だとその家の中だけで嫁は孤立しなければいけないですけど。日本では、嫁は、会社に入った新入社員と同じ立場だと書いてあります。核家族がすすんだ今の日本だとどうなんでしょうね。
アメリカもヨコ社会でしょうね。一番最近移民していたエスニック・グループが最下層を形成するみたいな。出身国ごとに移民でグループを作るでしょうし。ヨーロッパもヨコの階級社会なので、組合は職業別組合になる。
日本の社会はみんなが単一で共通化されているので、能力はみんな平等でより勤勉だったかどうかだけを評価すると言う虚妄の能力平等主義が組織で採用されている。入社年次で出世の幅を決めるとか。そして日本の社会は上下動がすごく激しい社会だと言うこと。リーダーが無能なことが多くなるとか。だから革命がおきないんですね。
この前のワールド・カップ・ラグビーの試合見て7人外国人選手が入ってるし、日本国籍の選手にも帰化した人や混血の選手が多くいる。清宮清純が南アに勝ったら、純血主義なんかどこへやら小さいことだと評してました。それって日本人の無規範のせいもあるでしょうけど、ああいう企業のラグビー・チームとかタテの組織に入ってやっていける人なら、外国人が日本にやって来ても大丈夫なんです。この本を読むとその理由がよくわかります。
山本七平のような著作と同様に名著だと思いますが、50年経っての今、少しは日本の社会はかわったのだろうか、今の日本社会の人間関係はどうなんだろうと気になりますね。
正社員と非正規社員のような階層が流動化しなくなると、ヨコの社会関係もできてくるのかな。昔新人類とか言われた年代が出てきたときに、すこし「契約概念」が発生しだしたんじゃないだろうかとか。どうでしょうか。
中根氏はまだご存命です。Wiki見ると、女性初の東大教授、女性初の学士院会員、女性初の学術部門の文化勲章受賞者だそうです。本書は、112万部のベスト&ロング・セラー。内容についても文句なく不朽の名著だと思います。

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日本列島における基本的文化の共通性は、江戸時代以降の中央集権的政治権力のもとづく行政網の発達によって、強い社会的単一性が助長されてきた。この日本社会の「単一性」こそ、人と人、人と集団、集団と集団、の関係設定のあり方を決定する重要な基盤となる。本書は「日本人の特質」ではなく、あくまで「単一社会の理論」と呼ぶべきものである。(著者「おわりに」より抜き書き)
すごく有名な著作ですけど、読んだことがなかったんですよね。今回初めて読んで、明晰な著述より先に、着物の長尺の話が出てきた時点で、50年ぐらい前の本かなという印象。奥付を見ると1967年初版発行、なんと2014年9で月第124刷。
私を含めて読まない人の多くが、日本のタテ割り行政みたいなのの分析の話と考えるかと思うんですが、ヨコ割り社会というものが多く世界に存在しているということを提示してそれとの比較考察が最初に来るのですよね。これが日本人である私にとっては、結構目からウロコです。
インドのカースト制度を差別という観点から見ると、このヨコ社会の特性を見誤る。ヨコの区割りの中で、競争にさらされずに失業の心配もなく生活できるという見方もあるというわけです。インドでは嫁と姑のけんかに嫁と同じ立場の他人が加勢にしにくるそうです。タテ社会だとその家の中だけで嫁は孤立しなければいけないですけど。日本では、嫁は、会社に入った新入社員と同じ立場だと書いてあります。核家族がすすんだ今の日本だとどうなんでしょうね。
アメリカもヨコ社会でしょうね。一番最近移民していたエスニック・グループが最下層を形成するみたいな。出身国ごとに移民でグループを作るでしょうし。ヨーロッパもヨコの階級社会なので、組合は職業別組合になる。
日本の社会はみんなが単一で共通化されているので、能力はみんな平等でより勤勉だったかどうかだけを評価すると言う虚妄の能力平等主義が組織で採用されている。入社年次で出世の幅を決めるとか。そして日本の社会は上下動がすごく激しい社会だと言うこと。リーダーが無能なことが多くなるとか。だから革命がおきないんですね。
この前のワールド・カップ・ラグビーの試合見て7人外国人選手が入ってるし、日本国籍の選手にも帰化した人や混血の選手が多くいる。清宮清純が南アに勝ったら、純血主義なんかどこへやら小さいことだと評してました。それって日本人の無規範のせいもあるでしょうけど、ああいう企業のラグビー・チームとかタテの組織に入ってやっていける人なら、外国人が日本にやって来ても大丈夫なんです。この本を読むとその理由がよくわかります。
山本七平のような著作と同様に名著だと思いますが、50年経っての今、少しは日本の社会はかわったのだろうか、今の日本社会の人間関係はどうなんだろうと気になりますね。
正社員と非正規社員のような階層が流動化しなくなると、ヨコの社会関係もできてくるのかな。昔新人類とか言われた年代が出てきたときに、すこし「契約概念」が発生しだしたんじゃないだろうかとか。どうでしょうか。
中根氏はまだご存命です。Wiki見ると、女性初の東大教授、女性初の学士院会員、女性初の学術部門の文化勲章受賞者だそうです。本書は、112万部のベスト&ロング・セラー。内容についても文句なく不朽の名著だと思います。