21世紀の日本最強論 (文春新書)/著者不明

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 悲観的な未来予測に支配される日本。しかし、誰も知らない「世界一の日本」の姿がここにある。衝撃の国連レポートから見える日本の凄さとは?

 多彩な著者がそれぞれのテーマで書いた日本の近未来論。

 最初の章が「衝撃の国連レポート『世界一豊かな日本』」で、GDPに変わる豊かさの統計指標を作って1人当たりの豊かさを試算したら、日本が1位になった。次の年2013年には、指標の計算方法が変わって、日本の順位が15位に落ちた。1位は、アイスランド。なんか、日本が豊かさとか、幸福度で1位になることは、望ましくないというバイアスがかかっているように見える。

 まあ、それはおいといて、今の政権にこういう指標の豊かさを上げる政策が期待できるかというと、正直できない。なぜかと言って、アベノミクスにしても、インフレ率2%が目標だし、使われなくなりつつあるGDPという指標を極端に意識してます。

 女性にもっと働いてもらいたいという提言も、労働力が足りなくなるからという経済的動機であって、個人の自己選択の幅を広げようという社会正義の観点でないのは、今まで女性を良妻賢母でいるのが幸せですよと、よってたかって洗脳してきた社会だったのに、なんで今になって突然・・・と、見抜かれてるのですよね。自民党の先生方。

 だから、自民党って嫌いなの。江戸時代の封建社会の社会制度を今にひきずってて、それでよしとしてるから。じゃあ民主党にいれるか?いや、それも無理。共産党なんて絶対いや。

 だから日本人の体感幸福度って低いんだよ。自己決定の幅が少なすぎるんだもの。

 新卒で正社員として入った会社を辞めたら、極端にいい会社への転職が難しくなるとか・・・。

 有給休暇は世界一取りにくい社会だし・・・。

 有能な女性でも、民間の大企業でほとんど出世できないし・・・。

 過労死が出るほどの長時間労働が珍しくないし・・・。

 仕事は同じなのに、正規と非正規で極端に待遇が違うし・・・。

 あれやこれやですが、

 
 この本でよかったのは、日本には科学技術の強みがすごくあること。

 日本人は、「新常態」と言うのが得意であること。中国人は性格的に安定志向がないので、不得意。


 それから、もう経済成長は世界中で望めなくなってきたと、はっきり書いてあること。

 アベノミクスの最初の矢は、金融緩和でしたけど、結局株価があがっただけ。円安になっても10%しかない輸出産業では、その恩恵はいきわたらないので、勤労所得は増えない。所得が増えなきゃ、需要が増えないので、景気もよくならない。

 リーマンショックのあとに、FXのレバッレジなどを最高25倍に制限したせいか、バブルが世界的にできにくくなっていることは確かみたいです。最近の中国株の乱高下は、信用取引を中国で解禁したからなんですね。

 原発反対の人は多いみたいですけど、地熱発電の推進はどうなってるんでしょう?アイスランドは地熱発電とか、氷河の水で水力発電やってるそうです。