戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか (PHP新書)/池田 信夫

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 池田信夫氏が、自分の学生時代の左翼運動体験からひも解いて、さまざな分野での日本の進歩的知識人や左翼政党・報道機関の思惟と言動および彼らの経年劣化を描写し、日本に何が欠落しているのかを指摘していく

 池田氏は、1953年生まれでちょうど70年安保の翌年に東大に入ってるんですね。そして社会科学研究会というサークルの部長を務めた。その10人足らず部員のうち4人が内ゲバで殺されたという衝撃の事実が「プロローグ」で紹介されています。いまさらながら無事でよかったですね。

 一番面白かったのは、「第6章 進歩的文化人の劣化」なんですけど、清水幾太郎、大江健三郎、内田樹、孫崎享などの名前が上がってます。

 清水幾太郎って聞いたことあるなと思ったんですけど、読売新聞の論説員出身だそうです。戦中から戦後にかけて、右、左、右と立ち位置を変えた。それは「かっこいいから」だった。

 大江健三郎の『沖縄ノート』の裁判に関しては、わたしも少し経緯を雑誌などで読んだので知っていましたが、裁判官が日和ったんだと思いました。ノーベル文学賞受賞者の作品を出版差し止めにする勇気は、なかなか持てないですよね。

 内田樹、『辺境論』は面白かったんだけどね。

 孫埼享って、アメリカの陰謀論の人ですね。今度読んでみようかな。
でも陰謀論って大体幼稚な人が考えますね。会社でそういう話が出てくるときに、相手に1つ2つ質問すると大体話が腰砕けになるってよくあります。

 古賀茂明は、6章ではなく2章で出てきますが、報ステの騒動の人ですね。この人経産省の役人の時代に1つも天下りできる特殊法人を作らなかったのを誇ってて、立派な人だなと思った記憶があるんです。最初の本は本屋で見た記憶があります。40万部売れたそうです。
 テレビのコメンテーターは、短い言葉で政権を批判するほうが受けるので局に迎合してるとどんどん左傾化するそうです。
 この人の場合、番組を下ろされるときに「政権から圧力があった」といったのは初めてではないらしく、自分を政権からマークされるような重要な人物だと勘違いしているというのが本当のところかもしれません。

 日本には、中心がないというのが結論。全体最適に責任を持つ人がいない。ということ。そして日本人はほとんどそれを自覚していない。
 
 池田氏には、山本七平の後継者を目指してほしいと思います。