ぼくと1ルピーの神様 (RHブックス・プラス)/ヴィカス スワラップ

¥840
Amazon.co.jp

 クイズ番組でみごとに全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム。警察は、孤児で教養のない少年が難問に答えられるはずがないと、不正の容疑で逮捕する。しかし奇蹟には理由があった・・・。(文庫背表紙より)

 映画『スラムドッグ$ミリオネア』の原作。

 作者は、インドの現役外交官で、仕事の合間を縫って書いたこの本が処女作。

 映画とはかなりエピソードの部分が違いました。しかし、映画は作品のテーマを外してはいないと思います。

 また翻訳を通してもこの作品はかなり平易な言葉で書かれていると感じます。英語はインドでは公用語に近い感じだと思うのでエリートはみんな使いこなせるでしょうが、小説を書くとなると外国人としてのハンデはある筈で、そのせいか童話のような趣がでたと思うのですが、この小説のテーマにそれがぴったりしたと思います。

 ネットに作者スワラップ氏のインタヴューがあったのですが、知識はエリートだけの領域ではないし、学ぶ力は誰にでもあると力強く語ってらっしゃいます。

 この作品は、インドの「影」の部分に触れた物ですが、こういう作品が世に出るということはインドは貧しくとも自由が保証された民主主義社会であり、同じアジアの大国の外交官にはこういうことは望めないと再認識しました。