皇族の「公(おおやけ)」と「私(わたくし)」/寛仁 親王 工藤 美代子

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 先ごろ亡くなられた三笠宮さまのご長男のインタヴュー集。

 読んでいて、皇室に対する自分のスタンスを確かめてみたいと考えていたのですが、私は、本心ニュートラルですね。もう人生の半ばを過ぎた年になると、万世一系だろうとなんだろうと私が死ぬまでには皇室は無くならんことはほぼ確実だと思いますから。

 私は、社会主義者や共産主義者ではないけど、だからといって皇室をあがめる気にもさほどなれないです。

 この本のなかで寛仁親王は、未来の陛下は悠仁さまだと断言しているのですが、かなり政治的な発言だし、憲法の「天皇の地位は国民の総意に基づく」の条文を確信犯的に逸脱させているんですよね。

 この万世一系の男子がなぜ重要かと言うと、将来の天皇の性格はわからないので変な人が天皇なっても皇室が不人気ゆえにつぶされないようにという意味と、男女差別の温存と言う意味があるのだと思います。

 この方が言われる皇族に関するエピソードの語り方は、既得権益を守ろうとしているエスタブリッシュメントの上手な語り口なのだろうなと感じます。なのでさほど感心しません。

 しかし、何を聞かれても正直に率直に自然体で美しい言葉づかいで話すところが皇族とその周辺にいらっしゃる方々の素晴らしい所だとあらためて思いました。

 本当に正直で、工藤さんが「札幌オリンピックのコンパニオンをしていました。」と言ったら寛仁親王は、「その顔で?」と言ったそうです。

 ご冥福をお祈りします。