窪田将治『失恋殺人』

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　親の遺産で何不自由なく暮らしている南田は、美しい妻・みや子に愛されていないことを気に病み、夫妻のかかりつけの歯科医・琴浦に悩みを打ち明ける。話を聞いた琴浦医師は明智小五郎探偵事務所に、みや子の浮気調査を依頼するのだったが…調査を始めた明智の妻・文代は３人の関係に違和感を覚え始める。

　なんかgoo映画のレヴューに０点評価が並んでたんで、面白いと言うのは気が引けるんですが、私わかりやすくて良かった。

　大正時代のレトロな雰囲気の歯科医院を舞台にしていて、美術という観点からすると小道具集めるだけで大変だったろうと思うんですけど、０点評価の人たちはそんなこと全く見ないのね・・・。衣装にしても、宮地真緒の着た洋服なんかなかなか良いと思ったんですが・・・。ただ髪型が良くないように思いましたし、演技が表面的で男との絡みが不倫という感じにしか見えない・・・。淑やかでありながら妖艶というヒロインでないと、このストーリーは成立しない。そこのところ、今一かもしれません。

　夫の柳憂怜（たけし軍団の人ですね）が、ちょっと異常なタイプという人物造形も出来ていたので、妻が夫を嫌悪している（時代背景から言っても見合い結婚だろう）のもよく理解できると思いました。

　原作では、妻に失恋した男の死に不審の念を抱いた刑事が真相を探るというスタイルだったらしい（読んでません。）のですが、何がこれから起こるかをストーリーのベースに脚本にしていて上手く出来てると思いました。

　ただタイトル「失恋殺人」で殺人が起こるということがわかり、ストーリーの発端から言っても失恋するのが夫だと最初から明白だし、失恋した夫が主人公でないのも明白ということで、誰が殺されるのか容易に想像がつく・・・。どんな風に殺人が起こって行くのかと言う所が、色々意外に展開して行って面白かったと思ったのですが・・・。歯科医の受付が強請るところなんか、最近の心理サスペンスみたいなわかりにくさがなくて良かった。

　登場人物の少ないミステリーは、犯人がすぐわかるのが欠点ですね。細身の宮地さんの豊満な胸でも楽しんでいただけば・・。