第三の男 [DVD]/ジョゼフ・コットン,オーソン・ウェルズ

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 アメリカの売れない小説家ホリー・マーチンスは、親友ハリー・ライムから仕事を依頼したいと誘われ、意気揚々とウィーンにやって来た。ライムの家を訪ねるマーチンスだが、門衛はライムが自動車事故で死亡したと彼に告げる。ライムの葬儀に出席するマーチンスは、そこでイギリス軍のキャロウェイ少佐と知り合う。少佐はライムが闇取引をしていた悪人だと告げたが、信じられないマーチンスはライムへの友情から事件の真相究明を決意する。
 事件の関係者を調査するマーチンスは、ライムの恋人であった女優のアンナ・シュミットと出会う。マーチンスと彼女は二人で事件の目撃者である宿の門衛に話を聞き、現場に未知の〈第三の男〉が居たことをつきとめる。しかし貴重な証言を残した門衛は何者かに殺害され、マーチンスがその下手人だと疑われてしまう。また、国籍を偽っていたアンナもパスポート偽造の罪でソビエト連邦のMPに連行されてしまう。
 進退に窮したマーチンスは、アンナの下宿の近くで〈第三の男〉と邂逅する。


 死んだと思った男は実は生きていてというのは、推理小説の古典的パターンなので、この交通事故現場に居合わせた第三の男がハリー・ライムだというのは誰でもわかる話なんですよね。

 この話が面白いのは、マーチンスがアンナに恋してしまうので、どこかでハリー・ライムを親友から悪人に変換させる理由にバイアスがかかっているだろうという観客とマーチンス自身の疑いをうまく脚本にしたところだと思います。マーチンスは「良い人」になろうとする。そしてアンナの世話をしてなんとか彼女を振り向かせたい。

 でも、悪い男の魅力に「良い人」がかなう訳ないんですよね。なので、あの有名なラスト・シーンでアンナは自分の想い人を死なせたマーチンスを許さない。見向きもしない。また観客もどこか納得している。そりゃやっぱ卑怯よってね。

 モノクロ映画の光と影の演出は実に見事。60年以上前の作品だと言うのに全く古さを感じさせません。またハリーの悪は第2次大戦後のウィーン市民の困窮が作りだしたものという背景が非常によく描かれていて、かえってこういう娯楽作品に戦争の悲惨さを感じさせるところなど傑作と言う他ないです。