クイズ・ショウ [DVD]/ジョン・タトゥーロ,ロブ・モロー,レイフ・ファインズ

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 高額な賞金が貰えるテレビ番組「クイズショー」。勝ち抜き戦に連続して勝ってきた冴えない風体のハービー・ステンペルは、ここへ来てテレビ局から負けろと言われる。彼の品格があまりに良くないため、これ以上の出演はマイナスだと感じたスポンサーからの要請だった。スポンサーは栄養ドリンクの売上を気にし、テレビ局は視聴率を気にする、そんな時代に突入してきた1950年代のことである。
 ハービーは悩んだ末、わざと誤った解答をする。このため、チャールズ・ヴァン・ドーレンが新チャンピオンとなる。彼は有名名士の息子で独身だった。端正な顔立ちと気品のある振る舞いで、一躍テレビの人気者になる。こんな彼も最初は断っていたが、視聴者の盛り上がりと、彼の希望とする「みんなが本を読むことの薦め」に一役買えるものと自分に言い聞かせ、八百長に手を貸してしまう。
 有名人になったチャールズを嫉妬したハービーは、「八百長が行われている」と大陪審に告発する。しかし、大陪審で取り下げとなったこの事件についての新聞記事に引っかかりを感じた立法管理委員会の捜査官であるディック・グッドウィンは、テレビ局の不正についての調査に乗り出す。


 私が子供の頃2枚目俳優の代名詞だったロバート・レッドフォードは、映画監督になって中々立派な映画を撮ってます。

 前のクイズ王ハービーと捜査官のディックがユダヤ系なんですね。ユダヤ系のアメリカ社会での差別とまでは言えないような微妙な嫌われ方が描かれていて興味深いです。

 クイズ番組に出る大学教授のヴァン・ドーレンは週給86ドルの大したことない学者だということが最初に出てくるので、不正に手を染めて行くその過程は、父親に対するコンプレックスが原因だと見る人には歴然とわかるようになってます。

 彼が公聴会に出て来て、不正を白状したときに公聴会のメンバーが本当の事を言った勇気ある態度を褒めるんですが、最後に発言したメンバーが「不正行為を認める真実の告白がどうして褒めるに値するのか。」という発言をしたときに傍聴人たちから拍手が起こる。こういう厳しさが一神教の世界ですね。

 放送局やスポンサーは無傷で逃げ、不正を認めたプロダクション経営者も焼け太り気味に業界に返り咲く。

 どこの国でもしっぽ切りで終わるんですね。傷ついたのは、大学の職を追われたヴァン・ドーレンのみ。ちょっと可哀相ですが、彼が大人になるためにはそれしかなかったんですね。