審議会を公選制に/池田信夫ブログ

 


 日本の政策って、いわゆる審議会で決まっているわけですけど、政治は人事なので、審議会のメンバーを見れが、でてくる答申は予測できる。その審議会のメンバーの人選って形式上は大臣が選ぶことになってるけども実質的に決めているのは大臣の省の官僚がなので、既定の路線に沿った意見を持ったほとんど肩書だけは立派な(東大の先生がとても多い)学者が多数派を占める。

 省の方針に真っ向から反するような審議会のメンバーを政治主導で選んだ大臣がどうなるかと言うと、良くて失言を、悪ければ、過去の脱税等をマスコミにリークされて辞任に追い込まれる。

 こうやって、官僚が政治家を主導する形になる。

 日本の審議会のメンバーにステーク・ホルダー(利害当事者)が入る事を国民が疑問に思わないのも問題だと思う。

 例えば、再生可能エネルギーの買取価格を決定する調達価格等算定委員会には新日鉄の副社長が入った。新日本製鉄は、大口電力の購入当事者ですから、最初から再生可能エネルギーの全量買い取り制度には反対なわけです。エネルギー識者委員会に東電の会長が入るようなもので、こういう人は、国の政策を決める審議会にはふさわしくない。今回、各党が反対し人選の再考を求めた。

 これまで利害当事者が、国の審議会に入るのが当たり前のように行われて来たのは、利益をどう配分するのか決めるのが国の政策の関心事項で、国民にとって何が合理的であるのかは二の次になってきたからで、それは、経済が右肩上がりだったのでそれなりに多くの人に満足を与える事が出来ていたんですね。

 民主主義というものを国民自らの手で獲得したわけではない日本と言う国で、多くの人がこういう仕組み(からくり)を知っていき、声を上げて行くのが、日本に本当の意味で民主主義を根付かせていく道なのではないかなと思います。

 福島原発の事故がなかったら、審議会のメンバーの人選についても大して真剣な議論が行われなかっただろうと思う。せっぱつまらないとほったらかしって言うのは、夏休みの宿題を8月の終わりまでしない子供みたいで、わが身を振り返って身につまされます。